安保政策麻痺させた「55年体制」 国益害す重要な憲法解釈の変更、自民党と社会党の裏取引で決定 国会答弁によって〝国是〟に
その裏取引を「憲法解釈の国会答弁」という形の証文にする公証人が内閣法制局であった。自社の裏取引で合意された「国会答弁」は、「国是」と呼ばれ、「国会の総意」と呼ばれ、マスコミによって神棚に祭り上げられ、あたかも憲法の上位にあるかのような扱いを受けてきた。
しかし、それは日本国憲法上何の拘束力もない国会答弁に過ぎない。冷戦が終わって、すでに30年である。「憲政の常道」に戻り、公の議論を通じて国益を害する国会答弁を正し、現実主義的に戻って「戦える民主主義国家」に戻る時代が来ている。
■兼原信克(かねはら・のぶかつ) 1959年、山口県生まれ。81年に東大法学部を卒業し、外務省入省。北米局日米安全保障条約課長、総合外交政策局総務課長、国際法局長などを歴任。第2次安倍晋三政権で、内閣官房副長官補(外政担当)、国家安全保障局次長を務める。19年退官。現在、同志社大学特別客員教授。15年、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章受勲。著書・共著に『日本人のための安全保障入門』(日本経済新聞出版)、『君たち、中国に勝てるのか』(産経新聞出版)、『国家の総力』(新潮新書)など多数。