スタメン落ち屈辱を4打点大爆発に変えたソフトB松田の「悔しさがなくなったら辞めるとき」の哲学
セ、パのクライマックスシリーズのファイナルステージが9日にスタート。パ・リーグでは2位のソフトバンクがメットライフドームで行われた西武とのシーソーゲームを8-4で制して先勝、1勝のアドバンテージがある西武との対戦成績を1勝1敗にした。3試合ぶりにスタメン復帰した松田宣浩(36)が先制の2点タイムリーを含む4打点の大暴れ。工藤監督の采配もさえ、一度は逆転されたが、再逆転して逃げ切った。かつてマッチが語っていた壮絶な覚悟。チーム“下剋上”に勢いをつける“熱男”が帰ってきた。
工藤監督の“神采配”
「5番、サード、松田」 それが工藤監督が“下剋上”完遂のために切ったカードだった。 先発のニールの立ち上がりに巡ってきた二死一、三塁の先制機。そのバットに乗せられたのは、2試合続けてスタメンを外された悔しさではなく野球人としての誇りだった。 ストライクゾーンに落ちてくる変化球。しっかりとためて捉えた。右中間フェンスを直撃するタイムリー二塁打。2人の走者を還す。 「チャンスがあったので。試合に出してもらったのでとにかく集中して悔いのないようにバットを振ろうと。結果的にタイムリーを打ててよかったと思った。短期決戦は先へ先へ試合を進める方が有利。大きな先制点になった」 試合はシーソーゲーム。 西武は3回に外崎のタイムリー三塁打で3-2と勝ち越し。6回には、山川の目の覚める当たりで貴重な追加点も奪う。だが、ソフトバンクはギブアップしていなかった。 グラシアルの一発で1点差に迫り、さらに8回一死一、三塁から松田が平良の150キロを超えてくるストレートに三振すると、工藤監督は、ファーストステージの第3戦で同点、勝ち越しの2本塁打を放っている“CS男”内川に代打・長谷川を送る勝負手を打った。 この日の内川は、タイミングが合っていないと判断したそうだが、なかなかできない“神采配”だろう。長谷川が平良の速球に詰まりながらレフト前へ打球を落とし同点にすると、さらに代走・周東がバッテリーミスにつけこんで勝ち越しのホームに滑り込む。 とどめは、また松田だった。 9回二死満塁から5番手の左腕榎田の変化球に食らいつくようにしてレフト前へ2点タイムリーを運ぶ。スコアは8-4。勝負あった――。 「前の打席にチャンスで三振したんで。もう一回みんなが回してくれた。とにかく必死に打席に立った。ランナーを返せてよかった」