熱中症や豪雨の深刻被害に早めの警戒と対策を 今夏の猛暑予測で防災関連62学会が緊急呼びかけ
暑さ指数は25以上が「警戒」、28以上で「厳重警戒」、31以上で運動を原則中止とする「危険」、33以上で「熱中症警戒アラート」が出されていた。警戒アラートの2023年度の発表回数は過去最多の1232回に達した。環境省は深刻化する熱中症被害に対応するため、4月から新たに熱中症特別警戒アラートを設定した。
自分の住まいの災害リスクチェックを
防災学術連携体は熱中症と同じように発生リスクが高まっている豪雨や台風による風水被害や土砂災害についても警戒と対策を呼びかけている。建築、建造物の安全問題に詳しい田村氏は「自分の住まいの(豪雨などの災害の)リスクをチェックしてほしい」と語った。
田村氏は「自宅周辺などのハザードマップを参考に、付近の河川が氾濫した場合に自分の住まいがどの程度浸水するか、土砂災害の起きるリスクなどを自ら確認し、浸水のイメージをあらかじめ持ってほしい」と述べている。局地的豪雨や線状降水帯による豪雨ではごく短時間に地下街や地下室、排水溝、用水路などに激しい勢いで大量の水が流れ込むため、家族と安全な避難方法や連絡方法を日頃から相談しておくことも大切としている。
自分でもできる備えの大切さを強調
気象庁は5月27日から局地的な豪雨をもたらす線状降水帯が発生する可能性があることを12~6時間前に伝える「半日前予測」を府県単位で発表している。半日前予測は2022年6月にスタートし、当初は関東甲信、東海、近畿、中国など、全国を11に分けた地域ごとに出していた。
同庁は数値予報モデルと呼ばれるプログラムの精度が向上したため予測の範囲を狭め、地域防災に役立ててもらうために府県単位の運用にしたという。ただ、半日前予測が出せないまま線状降水帯が発生することもあり、この予測だけに頼らないよう注意が必要だ。
「(誰もが)災害の危険性を知り、自分と家族を守る責任がある」。防災学術連携体代表幹事の米田氏は会見の最後に、一人一人が異常な暑さや頻発する豪雨に対して緊張感をもって自分でもできる備えの大切さを強調した。
熱波や豪雨といった異常気象が頻発して最近では「極端気象」とも呼ばれる。こうした自然現象は人間の力では止められない。しかし、身を守る行動は可能だ。この夏、個人でできる万全の備えと安全な行動を心がけて命を守りたい。 内城喜貴/科学ジャーナリスト