熱中症や豪雨の深刻被害に早めの警戒と対策を 今夏の猛暑予測で防災関連62学会が緊急呼びかけ
同庁は夏季に太平洋高気圧の張り出しが弱くなる「エルニーニョ現象」は終息し、6~8月期の後半から秋にかけて南米ペルー沖の海面水温が下がり、同高気圧の北方への張り出しが強まる「ラニーニャ現象」が発生する可能性が高いと予測している。全国的に平年より気温が上がる可能性が高い。
熱中症は予防可能、「弱者」を見逃さないように
熱中症に詳しい横堀氏は、熱中症による死者が増加傾向にあることを示すデータを示しながら「気候変動による健康被害は深刻になっている。熱中症被害は今や災害級ではなく超災害級だ」と述べた。そして体温調整機能が低下している高齢者や、高血圧、糖尿病などの持病がある人、認知症、一人暮らしの人、乳幼児などの「熱中症弱者」を見逃さないことが何より求められているとし「熱中症は予防できる災害だ」と指摘した。
横堀氏によると、本格的な夏を迎える前の梅雨の期間から暑さに備える必要がある。そして節電をするにしても、エアコンを適切に使うことで室内での熱中症のリスクを下げることができる。体が暑さに慣れる前の梅雨明けの時期は特に注意が必要だという。
日本救急医学会はスマホ用の熱中症診断支援アプリを開発し、一般にも公開している。横堀氏は「いくつかの質問項目に答えるだけで重症度や必要な措置が分かる。近隣の病院への道順など誘導もしてもらえるので(自分や周囲が異常に気づいたら)活用してほしい」と話している。
熱中症は高温や高湿度により、体内の水分、塩分バランスが崩れてめまいや吐き気、意識障害を起こす。死者は2018年以降22年までの間、21年を除いて年間1000人を大きく超えている。環境省によると、死者数の5年移動平均は96~00年は179人だったのに対し、19~23年は1308人になっている。総務省消防庁の集計では、熱中症による救急搬送者数は年々増加して23年は9万人を超えた。
特別警戒アラートの運用を全国で開始
環境省は4月24日から「熱中症特別警戒アラート」の運用を全国で開始し、気温と湿度などから算出する「暑さ指数」が35以上になると予想された場合は、最大限の予防行動を呼びかけて、市区町村は事前に決めた公民館などを「指定暑熱避難施設」(クーリングシェルター)として開放することにしている。