「車の中で使用し、大事故を起こす理由」『脱法ドラッグの罠』著者・森鷹久氏に藤井誠二が聞く(第5回)
2014年7月、厚生労働省と警察庁により「危険ドラッグ」と名称を改められた脱法ドラッグ。現在も危険ドラッグが原因と見られる事件、事故が後を絶たない。そもそも、危険ドラッグはどれほど危険なものなのか。なぜ、若者や中高年を惹きつけるのか。販売業者や危険ドラッグ常用者への取材を重ね、『脱法ドラッグの罠』を上梓したライターの森鷹久氏に、ノンフィクションライターの藤井誠二氏が聞いた。 全5回に分けてお届けするインタビューの第5回目のテーマは、「車の中で使用し、大事故を起こす理由」。
藤井:「禁止」をされていないというのは、一つの免罪符にしてるとは思うんですけれど、儲かるからやるっていう面もあるんですか。 森:当然そうです。そういうちょっと半グレチックな割と元締めに近い方々は、やはりもうかるからやる。 藤井:どのぐらいもうかるんですかね。 森:そうですね、上下、人によって差がありますけど、私が伺った中ではおそらく足掛け5年ぐらいだと思うんですけど、その方は20億ぐらい。 藤井:20億! 森:最近、山口県で脱法ハーブの製造とか販売とかで捕まった夫婦がいたんですけど、やっぱり彼らも月収100万そこそこですね。 藤井:売る販路っていうのは、今摘発されてるような店舗型もあれば、ネットのほうが多いんですか、どっちが多いんですか。 森:基本、どっちが多いかっていうのは、はっきりしたことは分かんないんですけど、おそらくネットが多かったんじゃないのかなと思います。店舗型をやってた方が、その後にやはりもっと儲けたいということで通信販売のサイト、ウェブ販売を始めたら売り上げが3倍~4倍なんていう話もよく聞いてたので。
藤井:「危険ドラッグ」には禁止されている、指定されてる成分が含まれたものを吸って交通事故を起こしたり、あるいは人をはね殺したりとかするような犯罪を起こしてしまったら、どういうふうな罰を受けるのですか。 森:罰則ですか。あまりそれにちょっと知識もそんなに深くないんですけども、危険運転致死傷とか、いわゆる飲酒運転よりはなんか、低いケースもあるのではないかなというような印象です。 藤井:つまりこれは、覚せい剤だったら覚せい剤所持、大麻でもそうですけど、あと使用とか、最近だったらCHAGE and ASKAのASKAさんが所持とか使用とかで話題になりましたけど、危険ドラッグを所持した、使用したっていうことでは罪に問われないってことですか。 森:その事故を起こした方が持ってた、または吸ってたと思われる危険ドラッグから禁止薬物が出れば、服物所持と危険運転致死傷・致死とかとセットになると思うんですけども、やはりほかの、今おっしゃったような覚せい剤取締法とかそういったものよりは、やはり量刑は非常に少ないんじゃないのかなと。 藤井:今は危険運転致死とか交通犯罪の量刑が上がってるので、ニュース見てると完全にもう意識を失ってるような段階で捕まってるから、あれで運転技能があったとは認められないので、完全にこれは重罰だと思うんですけど、つまりは交通のほうの法律で罰せられる。覚せい剤法とかの法律がなく、適用法律がないということですね。