「車の中で使用し、大事故を起こす理由」『脱法ドラッグの罠』著者・森鷹久氏に藤井誠二が聞く(第5回)
森:不幸中の幸いで大した事故じゃなくても、ちょっとこすっちゃったとか、壁にぶつかったとか、車運転しててですね。それで「おまえ、なんかハーブやってるんじゃないのか」と言われて、それから禁止薬物が出ても、それで懲役ということは今もないと思うので。 藤井:覚せい剤だって初犯ではね。ASKAさんが執行猶予付いたとおり、ないわけですよね。で、もう「危険ドラッグ」は依存性が高いわけですか。 森:さっきも申し上げたように、やはりセックス目的、快楽目的でやる方は、やはりその都度やられると思うんですね。そういった意味での精神依存っていうのはあると思うんですけど、例えば覚せい剤みたいにやらなかったら体が震えちゃうとか、幻聴が聞こえるとか、見えるとか、そういったことは今のところは僕は聞いてはないんですけども。 藤井:その辺がちょっと効き方が違うということですね、覚せい剤とは。 森:そうですね。今後は、どうなっていくのか。やはり、どんどん覚せい剤に近く、成分、酔い方っていうのが覚せい剤に近くなってきていますから。もう一部では超えてるはずなんですが。
藤井:そうすると、そういうものに依存してしまって抜け出せなくなった人たちっていうのは、例えばDARCのように、Drug Addiction Rehabilitation Centerのような更生治療施設に入って、脱薬プログラムをおこなうとか、閉鎖病棟のような病院に入院して治療を受けるとか、そういう形になるんですか。 森:僕もそういう更生機関というんでしょうか、そういうところに取材には行ってお話を少し聞いたんですけども、今のところやはり有効な手立てがないというふうに皆さんおっしゃってました。入ってくる方によって、やはり症状も千差万別であると。ドラッグをやらなくなった、これで断ち切れたんだと思っても、やっぱりやっちゃうっていうのは、当然、外にまたそこの施設を出ればすぐ買えるので。 藤井:売ってますもんね、街中で。進化してしまって、劇物化した人間を壊すような危険ドラッグをなくすためには、一番どういった方法、これは行政なり社会のいろんなやり方があると思うんですけれど、警察とか、どういったことを考えられますか。 森:行政だったり公的な機関、当局の規制っていうのも、僕はほとんど無理なんじゃないかなと思ってまして、それが正直なところなんです。本のタイトルに、あえて「脱法」って付けてるんですけど、その脱法っていう概念に対する認識をやっぱり今一度皆さんに、あらためて考え直していただきたいと思います。禁止されてないからいいじゃんとか、ちょっと精神論みたいな話になってくるんですけど、もうそれ以外に正直ない、ほかに方法はないんじゃないのかなと実は思ってます。