USスチール株急落、日鉄の提示額47%下回る-買収実現の期待しぼむ
(ブルームバーグ): バイデン米大統領の反対で日本製鉄による買収が不成立に終わるとの懸念から、USスチール株価が4日の取引で急落。日鉄の買収提示価格とのかい離が最大に広がった。
日鉄のUSスチール買収計画、バイデン米大統領が阻止へ-関係者
バイデン大統領が日鉄によるUSスチール買収を阻止する準備を進めていると伝わったことで、USスチール株価は下げを24%まで拡大。ボラティリティー増大で一時は売買停止となった。終値は約17%安の29.38ドル。これは日鉄が提示した1株当たり55ドルの買収提示額を約47%下回る水準で、価格差は昨年12月に買収計画が発表されて以降で最も開いた。
M&A(合併・買収)アービトラージ戦略を手がける市場関係者の一部は、この取引はなお対米外国投資委員会(CFIUS)の審査対象であると指摘。CFIUSがいつ最終決定を下すのか、バイデン氏の阻止計画とは別にそのプロセスがどのような展開をたどるのかを巡り、不透明感も出ている。
サスケハナ・インターナショナル・グループのM&Aアービトラージ専門家、フレデリック・ブーシェ氏は「大統領はCFIUSに圧力をかけ、取引阻止を勧告させようとしているのだろうか。通常なら、大統領がCFIUSの勧告に従うもので、その逆ではない」と指摘。「投資家は明確になるのを待たずに、急いで資金を引き揚げている」と述べた。
原題:US Steel Deal Spread Blows Out as Biden Dashes Takeover Hope(抜粋)
--取材協力:David Marino.
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Yiqin Shen