【毎日書評】口下手でもできる交渉術|カギは、相手の話を聴くことと自分の心を整えること
「自分は気が弱い」「自分は口下手かも」というような思いを抱えている方は少なくないかもそれません。 そのせいか、書店に足を運べば、そんな方を対象とした「交渉術」に関するさまざまな書籍を見つけることもできます。ところがそれらの内容は、高度な切り返しが必要であるなどレベルの高いものばかり。そのため、日ごろ私たちが交渉で実践するのは決して簡単ではないでしょう。 それ以前に、話す技術を中心とした交渉術を身につけようとしても、気弱・口下手であるがゆえになかなか実践に踏み切れなかったり、「自分らしさ」を活かせないまま、交渉で消化不良を起こしてしまうことも考えられます。 しかし、『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』(保坂康介 著、日本実業出版社)の著者によれば、気弱であること、口下手であることは決して交渉で不利にはならないのだそうです。むしろ、「気弱であること」は、交渉をうまくまとめるための大事な要素ととらえることができるというのです。 交渉を成功に導くためには、①交渉相手を説得するのではなく「交渉相手の話を聴く」ことと、②「自分の内面を整える」ことができれば、ほぼ大丈夫なのです。 僕も肩書こそ弁護士ですが、気が強いわけでもなく、口下手な性格です。当初はそれで弁護士としての自分に自信を持てずにいた時期がありました。でも、「聴く」と「自分を整える」ことで交渉に対する苦手意識はすっかりなくなりました。(「はじめに」より) つまり本書において著者は、かつての著者のように「気弱な自分」「口下手な自分」に自信を持てず、交渉にもコミュニケーションにも苦手意識を持っている方に向け、「聴く」と「整える」を中心として交渉を成功に導くためのエッセンスを伝えようとしているのです。 きょうはそのなかから、心の整え方について触れた第6章「つねに『丸くおさめる』ために取り入れたい心の習慣」に注目してみたいと思います。