【毎日書評】口下手でもできる交渉術|カギは、相手の話を聴くことと自分の心を整えること
普段から瞑想などで深い呼吸を心がけよう
著者はここで、よりよい交渉結果を引き寄せるために役立つ習慣として「瞑想」を挙げています。瞑想の利点は、なんといってもゆっくり深呼吸ができること。単なる深い呼吸といっても、そこにはさまざまなメリットがあるというのです。 瞑想によって深呼吸を意識的に行うようになると、自律神経が交感神経優位から副交感神経優位に切り替わり、とてもリラックスした状態をつくれるようになります。 瞑想が日常の習慣になると、物事に対して冷静に対処できたり、感情的にならずに他者とコミュニケーションを取ることができようになります。(198ページより) 「泰然自若」とは、なにが起きても落ち着き払い、少しも動じないさまを表したことばですが、まさにそのような状態をつくることができるということなのでしょう。 加えて瞑想の習慣は、交渉の時にも役立つと著者はいいます。交渉はお互いの利害をすり合わせてまとめるものですから、それなりにストレスや緊張に見舞われることになります。そのため、緊張感から交感神経が優位になりがち。しかし瞑想や深呼吸が習慣化されていると、ストレスのかかる場であったとしても交感神経が優位になるのを抑えることができるわけです。 ストレスにさらされなくなると、たとえ相手が感情を露わにした状態であったとしてもそれに対して過度に反応せず穏やかな態度を保つことができます。相手の立場を思いやりながら対話できるようになるので、冷静な話し合いにもっていくことができるようになります。(199ページより) かくいう著者も5~6年前から瞑想を日常の習慣にしているそう。また、相手と交渉をするときや裁判に臨むときにも、直前にひとりだけになれる空間を見つけて瞑想するようにしているのだとか。ちなみに、そんな著者の瞑想方法は以下のようなものだそうです。 1 椅子に座り、坐骨を立てて背筋を伸ばす 2 顎を引く 3 胸を開く 4 両手のひらを太ももの上に仰向けに置く 5 まずは、口から20~30秒かけて息を吐き切る 6 吐き終わったら、そのまま5秒ぐらい息を止める 7 10秒くらいかけて鼻から息を吸う 8 目は半開きの状態で少し遠くを見るようにして呼吸する (200ページより) 著者はこれを10~20分間くらい繰り返すといいますが、時間がない場合は2~3分でもかまわないそう。瞑想の際にはいろいろな思考や想像が頭を巡るものですが、それらはそのままにして追いかけず、ただぼーっと放置してみるのがいいようです。(198ページより)