井上咲楽 5歳の時の好物は「いもがら」。何でも手づくりする母のもとで育った幼少期、友達と交換した「冷凍グラタン」の虜となり…
『新婚さんいらっしゃい!』のアシスタントMCを務めるなど、さまざまなテレビ番組で活躍するタレント・井上咲楽さん。「笑顔で明るくいつも元気」というイメージを持たれることもある井上さんですが、その半生は決して明るいだけではなかったそう。今回は、井上さんが抱えてきた不安や悩み、生きづらさなどについて赤裸々に綴った初のエッセイ『じんせい手帖』(徳間書店)から、一部を抜粋してお届けします。 【写真】「さまざまな教育方法がある中で、子どもの頃に厳しく躾けてもらったことを今ではとても感謝している」と話す井上さん * * * * * * * ◆厳しい躾と静かで暗い夜の森 両親は礼儀と食事に厳しい人だった。長女の私には特に厳しくしていたように思う。 お箸の持ち方、いただきますとごちそうさまをしっかり口に出して言うこと、肘をついて食べないこと、お茶碗は持ち上げて食べること、口に物が入ったまま開けないこと、他の人が話している時に割り込んで話さないこと。 基本的なマナーと呼ばれることができていない場面では何度でも注意された。 それでも直らなかったり反抗したりすると、家の外へ出されていた。とても静かで暗い森に放り出されることが、小学生の私にとっては怖くて怖くてたまらなかった。 それでも、さまざまな教育方法がある中で、子どもの頃に厳しく躾けてもらったことを今ではとても感謝している。
◆5歳ながらに好物は「いもがら」 私の家では食べる物も他の家庭とは少し違っていた。 冷凍食品や惣菜などが食卓に並ぶことはなく、きんぴら、切り干し大根、煮物など、母が作る料理はどれも家庭的な手料理だった。 私が5歳くらいの頃、友だちの家で好きな食べ物を聞かれ「いもがら」と答えたことがある。芋のツルを甘く煮た渋い料理なので、友だちの親はそれを聞いて「5歳児から出る料理名じゃない」とびっくりしていたという。でも私にとってはそれくらい、日常的な料理だった。 さらに、毎日食べるお米は、基本は玄米を5割だけ精米した5分つき米、7割だけ精米した7分つき米が基本だった。白米は誕生日に手巻き寿司をする時にだけ出てくる特別なもの。外食もほとんどしなかった井上家で育った私にとって、給食でツヤツヤの白米が出てくるのがうれしくて仕方がなかった。
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