【多頭飼育崩壊】ゴミや排せつ物が部屋中に散乱、人は車内で生活…一見“普通の住宅”でなにが?
そんななか4 月下旬、男性が病気で急死。手続きのため久しぶりにこの家を訪れた親族が事態を把握し、市に相談したという。しかし、猫は愛護動物のため捕獲することは、法律と県の条例で禁止。市ができることは、近隣住民への対応や、森下さんなどの保護猫活動を行う人へ協力を要請することだった。市の担当者は、今回の場合について、「個人の所有物でおきている事象ということもあり、行政ができることには限界がある」と話す。
空き家を購入し、“猫のシェルター”へ改装
今は森下さんが毎日この家を訪れ、猫たちに餌を与えている。 「この子(猫)たち避妊去勢手術をしなきゃいけないので、それまでちょっと体力つけてね、みたいな感じです。おいしい、おなかいっぱいになるっていうことをやってほしい。たぶん、今まで飢えておなかがすいて苦しい思いしかしたことない子たちですもんね」と森下さんは話す。
エサは支援者からの寄付でまかなえているが、ほとんどの猫が避妊去勢手術をしていないとみられ、なかは妊娠している猫も。さらに、近隣住民からの苦情もあり、一日でも早く猫たちを別の場所に移さなければならないという。 森下さんはすでに自宅で多くの猫を保護しているため、これ以上連れて帰ることは難しく、知り合いの預かりボランティアなどにも協力を依頼していたが、預けられる数にも限界があった。
そのため、現在、森下さんは“猫のシェルター”を作る計画を進めている。7月上旬に現場近くに空き家を購入。猫が快適に過ごせる環境にするため、エアコンの付け替えやフローリングの張り替えなど、自ら改装を行った。 元々、小動物飼養販売管理士の資格は所持していたが、さらに第1種・第2種動物取扱い業の届け出を管轄の動物愛護センターに提出。7月下旬に登録が完了したため、すでに15匹の猫をシェルターに移し、避妊去勢手術などを行ったという。7月中には残りの猫たちも移動させ、譲渡会などを通じて里親を見つけたいとしている。
飼い主の知識不足や経済的な理由など、起こる原因は複数あるという多頭飼育の崩壊。森下さんは、「もっと早くに相談してほしかった」と話し、続けて「今はネットを調べれば出てくるじゃないですか。いろんな情報、いろんな団体さんがいた りとか。そういう人たちに助言を求めてほしい」と第三者を頼る選択肢を挙げた。
深刻な事態に陥る前に。1人で抱え込まず、誰かに頼る勇気が動物たちの命を救うのかもしれない。