「ソガ・ヒトミ」その存在に驚愕した日本政府 曽我さんは自責の念を抱えて帰国した 「若い人にこそ知ってもらいたい拉致問題」(後編)
20代の私には、曽我さんが語る全てが新鮮だった。若年層の多くは、自ら興味を持って調べなければ、拉致問題を知る機会はあまりない。しかし、一回り上の先輩たちに尋ねると、拉致の経緯や北朝鮮での生活は、ある程度知っているという。 共通認識として拉致問題を知る世代と、その下の世代とでは、拉致問題への認識が異なる。若者の大半は「詳しく知らないけれど、ずっと解決していない問題」と遠く感じているのではないか。私が書いた記事も、共通認識を持っている人向けのものになっているのでは、と自問自答を繰り返した。 2002年に帰国した5人は全員60歳を過ぎ、彼らや他の被害者の帰国を訴える支援団体の関係者も高齢化が進む。ある支援者は「支える立場の私たちもあと何年続けられるか分からない」と話す。横田めぐみさん=失踪当時(13)=の父滋さんは2020年、87歳で死去。娘との再会がかなわぬまま死別する被害者家族がほかにも後をたたない。
拉致を証言する被害者本人や、帰国を長年待つ親世代が、次世代を担うであろう「なんとなく知っている」若者たちに早期帰国を訴えることができる期間は有限だ。曽我さんも「若い人たちが先頭に立って、解決に向けて色んなことをしてもらいたい」と願っている。 【前編はこちら】https://www.47news.jp/9768293.html 「夜の路上で、いきなり頭から南京袋をかぶせられた」北朝鮮に連れ去られた曽我ひとみさん、帰国までの24年