お酒の害について知るべきこと8選、女性のがんから「不安」、肝臓を救うヒントまで
WHOは「アルコールに安全な摂取量は存在しない」と宣言
何千年ものあいだ、人類は酒を飲んできた。長い一日の終わりに友人たちと祝杯をあげたり、ワインやビールを嗜んだりするのは、われわれの文化の一部となっている。しかし実際のところ、アルコールは人間の体にどんな影響を及ぼしているのだろうか。研究からは、適度な量の飲酒でさえ、これまで考えられてきた以上に害があることが明らかになりつつある。 「病気を生む顔」になる食べ物とは 画像5点 アルコールは、世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)による分類で「グループ1」(4段階で最も上位)の発がん性物質であり、口、咽頭、喉頭、食道、肝臓、大腸、乳房のがんに関連している。2023年にWHOは、アルコールに安全な摂取量は存在しないと宣言し、グラス1杯の赤ワインがもたらす心血管系への潜在的な恩恵が、がんのリスクを上回る証拠はないと指摘している。 以下では、アルコールが体に及ぼす影響や、断酒に役立つヒントについてまとめた。
1. アルコールの影響は女性の方が深刻
男性と同じ量のアルコールを摂取しても、女性の方が健康被害を受けやすい。 アルコール関連の死亡は女性で増加している。また、女性は1日1杯のお酒を飲むだけでも、主に乳がんなどのアルコール関連がんの発症リスクが13%上昇する。アルコールはまた、生殖能力や更年期障害にも影響を及ぼす可能性がある。 その原因のひとつは、女性の方が同じくらいの体重の男性よりも脂肪組織が多く、水分量が少ないせいで、血中アルコール濃度が高くなるためだ。アルコールを代謝する酵素も、女性の方が少ない。また、ホルモンの変化もアルコールの分解速度に影響すると考えられている。
2. 年齢を重ねるとお酒に弱くなる
年を取るにつれ、女性のみならず、だれもがアルコールに弱くなる。 体の水分量は、年齢を重ねるにつれて少なくなる。「80歳が30歳のときと同じ量のアルコールを摂取すれば、血中アルコール濃度はずっと高くなります」と、米カリフォルニア大学サンディエゴ校スタイン老化研究所・健康老化センター所長のアリソン・ムーア氏は指摘している。 また、アルコールの代謝を助ける酵素も、加齢とともに衰える。脳もアルコールの影響を受けやすくなっているため、体の動きやバランスの調整が難しくなる。結果として、転倒のリスクが高くなり、反応時間にも影響が出る。