お酒の害について知るべきこと8選、女性のがんから「不安」、肝臓を救うヒントまで
3. 体の変化は突然訪れる
二日酔いで目覚めたときに、ふいに自分の年齢を実感したという経験はないだろうか。そこにはちゃんとした理由がある。 2024年8月14日付けで学術誌「Nature Aging」に発表された研究から、われわれの体は44歳と60歳で訪れる2回の急激な変化を経て老化することがわかっている。こうした分子レベルの変化は、肌のたるみやシワなど、われわれの体にふいに現れる目に見える変化の一因となる。 この急激な変化はまた、二日酔いの症状が重くなる原因にもなる。44歳で観察される分子レベルの変化の一部は、アルコールを代謝する能力に影響を与える細胞内で起こるからだ。
4. 就寝前の飲酒は特に悪い
深酒をすると夜にぐっすり眠れない、と聞いても、さほど驚きはないだろう。しかし、就寝前のたった1杯の飲酒でさえ、問題を引き起こす可能性がある。 「睡眠は心臓に休息を与えるように設計されており、心拍数や血圧を低下させます」と、米ミズーリ州にある研究所MRIグローバルの社長兼CEO、イアン・コルレイン氏は言う。しかし、氏が2020年に学術誌「Sleep」に発表した研究からは、たとえ少量でもアルコールを摂取すると、睡眠中の心拍数が4時間にわたって高いままになることがわかっている。 就寝前の飲酒はまた、レム睡眠を分断し、睡眠時無呼吸やアルコール依存症のリスクを高める可能性がある。
5. 飛行機での飲酒のリスク
寝酒をするのが長時間のフライトでなら、さらに悪影響を及ぼす可能性がある。2024年6月に医学誌「Thorax」に発表された研究が示すように、アルコールは高高度が人の体に与える影響を強め、心血管系に余分な負担をかけ、血中の酸素濃度を低下させ、脱水症状を悪化させ、睡眠の質を低下させる。 若くて健康であれば、肺や血流の酸素濃度がある程度下がっても耐えられるかもしれないが、年配者や心臓や肺に疾患を持つ人の場合は、深刻な結果を引き起しかねない。
6. 飲酒後に不安な気持ちで目覚める理由
若くて健康な人であっても、「ハングザイエティ(飲酒した翌日の不安)」からは逃れられないかもしれない。飲んだ翌日に、落ち着かない不安な気持ちで目覚めた経験がある人もいるだろう。研究によると、飲んだお酒こそが、こうした不安を引き起こす原因だという。アルコールは、不安を抑える特定の神経伝達物質を阻害する。 アルコールが体内から抜けたあとでも、その有毒な代謝産物であるアセトアルデヒドが、引き続き悪影響を与える可能性がある。アセトアルデヒドに関連する症状には吐き気や疲労感などがあり、これによって不安がさらに高まることもある。 「一日かけてアセトアルデヒドが排出されるにつれて、体は毒を与えられた状態から回復していきます」と、米エール・ニューヘイブン病院依存症回復クリニック所長のスティーブン・ホルト氏は言う。