“豊作の年” 注目の3台の新型がデビュー 2015年クルマ業界展望
無論いくら重量が軽くなっていたとしても、出来上がったクルマが良く無ければ仕方がない。あくまでも一例に過ぎないが、新旧のシャシーを比較するとコイルスプリングの巻線密度が変わっていたりする。軽量化のためには鋼線の全長を抑える低密度化は大きいだろうが、より短い鋼線でばねを構成することがサスペンションの過渡特性に何も影響を与えないわけではない。そうした部分をどうまとめてくるかが大きなキーファクターになるのは間違いない。 それでも、おそらく新型ロードスターは歴代ロードスターの中で屈指の出来に上がってくるだろうと、筆者は期待をしている。今や「世界の」という冠詞が付くようになったマツダ・ロードスター。日本と世界のスポーツカーを大いに刺激して欲しい。 さて、ロードスターのことに触れる度に、読者が一番知りたい発売日について「春ごろ」という以上に明確な日付を書けないことがもどかしい。もう発売日は間近になっているはずなので、いい加減マツダ自身がはっきり明示して欲しいものだ。
「NSX」の革命的駆動方式
ホンダは1月17日から始まるデトロイトショーで、市販モデルの新型NSXを発表する。新型NSXは自動車の概念を覆す全く新しい四輪駆動システムを搭載している。 縦置きV6ツインターボをミドに搭載し、3つのモーターを使ったハイブリッドシステムで駆動する。一つ目のモーターはフィットと同様にトランスミッションに組み込まれ、トルク配分機構を経てエンジンと協調しながら左右後輪を駆動する。詳細は未発表だが、ほぼ間違いなくホンダが新型レジェンドや北米向けのアキュラ・ブランドですでに採用している「四輪駆動力自在制御システム(SH-AWD)」が搭載されるだろう。主にタイトターンで外側の後輪を増速することで、駆動力そのもので曲がる力を作り出す新しいシステムだ。 残りの2つのモーターは、フロントの左右輪に一つずつ配置される。従来の1モーターによるSH-AWDでは4つのタイヤにかける駆動力の配分が変えられるだけだったが、追加された二つのモーターによって左右の前輪に回生ブレーキによる減速力を発生できるようになる。 これで何ができるかと言えば、例えば左旋回する時、左前輪を回生ブレーキモードで動作させることで左前輪を車両から見て後方に押す力を発生させる。同時に、右後輪に積極的に駆動力をかければ右後輪は前へ出ようとする。つまり新型NSXはこの時ブレーキと自らの駆動力によって反時計回りに自転運動する動き(ヨー運動)が作れるのだ。 これによって、ワンモーター式SH-AWDよりさらに軌道コントロールのファクターが増えることになる。概念的に言えば、4つのタイヤをそれぞれ個別にコントロールすることで「戦車がその場で回る様な運動(超信地旋回)」をクルマに取り入れたということだ。もちろん本当にその場で回れるわけではないが、それでも3モーターSH-AWDはクルマの運動性能を根幹からデザインし直すことができるわけだ。