“豊作の年” 注目の3台の新型がデビュー 2015年クルマ業界展望
2015年の話題は何か? と聞かれたら、大注目の3台のニューモデルのデビューだろう。 【写真】スポーツカーの「失われた10年」 ポスト・エコカーで復活なるか マツダが入念にティザーキャンペーンを積み上げてきたNDロードスターがいよいよ発売される。ホンダからは長年再来が熱望されていたNSXがようやく出て来る。そして今やトヨタの顔であるプリウスがフルモデルチェンジを迎える。もちろん偶然なのだろうが、日本の自動車産業にとって極めて重要なモデルが同じ年に発売されることに何かの因縁を感じる。 バブル景気が崩壊したのは1990年の1月。その前夜の1989年と崩壊の90年、日本車は空前のビンテージイヤーを迎えた。バブル期に開発を始めたクルマたちが一斉に孵化して現れたのだ。トヨタ・セルシオ、ニッサン・スカイラインGT-R、ホンダNSX、ユーノス・ロードスターと言った今でも語られる名車や、プリメーラ、エスティマと言った日本の自動車業界の流れに多大な影響を与えたエポックメイキングなクルマが次々と誕生した。 流石にそのビンテージイヤーと並ぶとまでは言わないが、おそらく2015年は後々まで豊作の年として記憶されるはずだ。
「ロードスター」は成功作の可能性大
ロードスターとは何かについて、マツダ自身の説明があまりにも絶妙なのでそのまま抜き出したい。「軽量コンパクトなオープン2シーターボディ、フロントミッドシップエンジン・後輪駆動、前後重量配分50:50、低ヨー慣性モーメント、加えて手頃な価格であることという、マツダのライトウェイトスポーツカーの大原則を守り、そして『いつでもどこでも誰もが心からオープンカーを楽しめる』という価値を大切に進化させてきたのです」 25年前にデビューしたロードスターは、今回で4代目。この25年間で厳しくなった衝突安全基準への対応で年々重量が増してきた。法令準拠へのやむを得ない対策だとしても、マツダは重量増加はロードスターの価値の根本を揺るがしかねないことをよく理解しており、歴代モデルにおいても可能な限りの軽量化を行ってきたのだが、それでも3代目では最軽量モデルですら1120キログラムに達してしまった。 4代目ロードスターでは、ボディサイズを小型化し、なんと乾いた雑巾をさらに絞って100キログラムの軽量化に成功したのだと言う。おそらくは高張力鋼板の使用範囲を広げ、摩擦撹拌接合などの新技術を導入して、軽量化を一定コストの範囲内に収める技術を開発したのだと思われる。 とにかくこの100キログラムという軽量化は、常識的に考えたらあり得ない数字で、最先端素材を投入して車両価格2000万円というならともかく、マツダの言う「手頃な価格」で本当にそんな軽量化ができるのかと筆者は今でも少し疑っているくらいだ。