なぜびわ湖毎日マラソンで鈴木健吾の驚異的な2時間4分台の日本新記録が誕生したのか?
日本人選手の優勝は2002年の武井隆次以来19年ぶり。鈴木は大会記録(2時間6分13秒)と日本記録(2時間5分29秒)を大幅に塗り替えて、2時間4分56秒という“夢のタイム”で、びわ湖の最終ステージを華やかに飾った。 残念ながら日本記録更新者にボーナスとして出されていた賞金1億円は、記録達成者の連発で資金が枯渇したこともあって1年前に終了していた。1年延期された東京五輪代表は補欠も含めてすでに決定しており特例で鈴木が選ばれる可能性もない。 それでも鈴木は「最後の大会で大会記録、日本記録を出せたことを誇りに思います」と笑顔を見せた。さらに驚かされたのは、ゴール後もまだまだ余力があったように見えたことだ。今後については、「パリ五輪を見据えてやっていきたい」と世界への挑戦を掲げた。 福嶋監督は鈴木の可能性について、「性格的にもコツコツと積み上げて練習ができる選手。粘り強さがあって、暑さにすごく強いんですよね。そういう意味ではオリンピックや世界選手権など暑いマラソンを走ることができる。育成するにあたっては、パリ五輪が最大の目標になってくるでしょう。まだ若いので、慌てずに休養をうまく挟みながら、練習を継続さえしていければ目標に近づいていけると思っています」と話している。 新型コロナ禍で世界のマラソンはまだまだ通常開催には至っていない。シューズの進化があるとはいえ、その間に日本のマラソンは一気に飛躍した。鈴木らの快走が東京五輪代表ランナーのハートにも火をつけたことだろう。 (文責・酒井政人/スポーツライター)