【真矢ミキさん・インタビュー/前編】草笛光子さんと私の母、実は少し似ています
年齢を重ねたら、どんなふうに生きるのが正解? そんな悩みに応えようとするコンテンツが人気を集める今、強力な映画が公開される。波瀾万丈な人生を強靱な精神力で生き抜き、90歳にして人気エッセイの連載を開始した作家の佐藤愛子さん。そんな彼女をモデルにした『九十歳。何がめでたい』だ。まさに今90歳の草笛光子さんが主演、その娘・響子役を演じているのが、真矢ミキさん。実生活でも作品の中でも、魅力的な先輩たちをたくさん見てきた彼女が今、思うのは?
パワフルな母親に立ち向かい、寄り添う娘を演じて
ヒロインが90歳! そんな映画は初めてかも。 演じている草笛光子さんがとてもチャーミングで、ヒロインを支える娘役の真矢ミキさんがとっても素敵で、『九十歳。何がめでたい』は、老いという逃れようのない現実を描きつつ、なぜか元気が湧いて、ほっこり優しい気持ちが残る作品になった。 「草笛光子さんとご一緒するのは2 回目です。最初は2012年に私が主演した連続ドラマ『捜査地図の女』で母親を演じてくださいました。そして今回も私が、娘の響子さんを演じています。 草笛さんはひと言で言うと、『粋』な方。温かいし優しいし思いやりもあるしサービス精神たっぷりなんですけど、それらがすべて、さらっとしている。 おそれ多いですけど、私自身の母と、ちょっと性格が似ています(笑)。母と草笛さんは生まれ育ちが横浜で、異国の方が普通に街を歩いているような、そういう土地柄もあるのかな、憶測ですけど(笑)。 お節介まではいかないけど、親切なんです。母の口癖は『for others』と『ハマッ子はね、自由で寛大なのよ』でしたから」 残念ながらお母さまは数年前に他界されてしまったけれど、ともに過ごした晩年の時間は、今回の役作りに大いに役立ったとか。 「最後まで、そんなに手のかかる母親ではなかったのですが、一緒にいる時間が長くなると、そうそういつも優しく接することが難しくなるんですね。 半年前までできていたことができなくなったり、急に食の好みが変わったり、それも老いなのかもしれないけれど。こちらの言葉遣いもだんだんキツくなってしまう。 この映画でも私が登場するシーンの最初の台詞が『うるさいなー!』ですから(笑)。もうね、その言い方にはいろいろ苦心しました」