大リーグ、高まる先発投手の需要…怪我人続出で各球団が悩む「先発ローテ」、菊池は12球団の争いだったと判明…30球団が狙う佐々木朗希
米大リーグで、先発投手の需要が高まっている。今FA市場では、既にサイ・ヤング賞2度を誇るブレイク・スネル投手がドジャースと5年総額1億8200万ドル(約277億円)で契約し、10日にはマックス・フリード投手がヤンキースと左腕史上最高額となる8年総額2億1800万ドル(約332億円)で合意した。トップスターターは、歴史的な巨額契約を結ぶ状況だ。 背景には、どのチームも先発不足で困っている実情がある。近年は、先発投手に怪我人が続出し、1シーズンを通して先発ローテーションを守る投手が少なくなった。投球の時間を制限するピッチクロックの影響という指摘もある。今季、世界一に輝いたドジャースは開幕の先発ローテーションに入った投手が全員、シーズン中のどこかで負傷者リストに入る異例の事態となった。 ドジャースのフリードマン編成本部長は、スネルも獲得して先発の層が厚くなったことを聞かれて「もう2度と層が厚くなったとは言わない。答えは同じだ」と苦笑いする。今季、怪我人続出の「悪夢」があり、先発は何人いてもいいというのが本音だ。 今オフも多くのトップ選手を抱える敏腕代理人スコット・ボラス氏は「今の市場で、先発の需要はかなり高い、素晴らしい状況」と語る。クライアントの一人である菊池雄星は、エンゼルスと3年総額6300万ドル(約96億円)で契約した。ボラス氏は菊池が「12チームから誘いがあった」ことを明かし、「彼はどこでも選ぶことができた」と語った。今オフの市場で、米メディアは、菊池をトップスターターのコルビン・バーンズやスネル、フリードらに続く、2番手グループの一人とみていたが、早々と契約がまとまった。 そんなマーケットに飛び込む佐々木朗希は、まさに30球団が狙える「超大物選手」。FAの立場とは違い、「25歳ルール」に縛られ、マイナー契約のスタートで年俸や契約金もかなり抑えられる。全30球団が欲しいという指摘は間違いない。トップ級の先発投手を獲得するのは、資金力があるビッグマーケットのチームだけだが、佐々木は状況が全く異なる。 先発需要の高まりは、来季のメジャー移籍を目指す巨人の菅野智之、中日の小笠原慎之介、阪神の青柳晃洋、広島の九里亜蓮にも追い風となるだろう。ウインター・ミーティング期間は、トップクラスの先発の動きが多く、佐々木を除く他の日本選手の話題はあまりないが、これから時間が経ってさらに市場が活発となれば、ニーズが出てくるだろう。
中日スポーツ