本当に「風化させないで」と言えるのか――10年目の3.11を越え、女川町長が描くこれからの10年 #これから私は
これまでの10年を、これからの10年に繋ぐ
ーー原発立地の町として、これからどのような選択をしていきますか? 須田善明さん: 再生可能エネルギーの比率を増やしつつ、いつかは原発も止める方向でやっていくことは目指すべきです。ただ今の段階では、実現はまだ難しい。再生可能エネルギーの導入にしても、何かを得れば何かを失います。だから現実解を求めていくしかないんです。一つ一つの影響を社会がどう許容していくか。その形を慎重に模索していきたいですね。 ーーこれから女川を、どんな町にしていきたいですか? 須田善明さん: もっと面白くしたいですね。「特定の人間が」ではなくて、みんなが面白がる町にしたい。誰かが「こうしよう」と旗を振れば、本当は分かりやすいんです。でもそうではなくて、みんなが旗を持てばいいと思っています。旗があちこちにあっても、とにかく前に進んでいけば。 一人ひとりが地域に関わって、自分の幸せや楽しさを生み出していく。それがたくさん出てくれば、ハッピーな町になりますよね。だから私は、そのための土壌をつくりたいんです。どういう町になるかは、皆さんがいろいろやった結果「こうなりました」でいい。 それが、私がこれまでの10年やってきたことです。これまでの10年を、これからの10年にどれだけ引き継げるか。もっと言うと、その在り方を守り、進化させられるか。そのためには、われわれ自身がもっと面白がりたい。駅から初日の出を眺めたときのように、ワクワクしていたいですね。 (撮影:鈴木省一 / 動画編集:廣瀬正樹 / 文:塩井典子)