石破首相、脱炭素電源豊富な地域での産業集積進める方針…AI規制法案の通常国会提出も表明
石破首相は26日、東京・丸の内の東京会館で開かれた読売国際経済懇話会(YIES)で講演し、原子力発電の利活用を進めつつ、脱炭素電源の豊富な地域で産業集積を進める方針を表明した。AI(人工知能)規制などを定めた法案を来年の通常国会に提出する考えも示し、偽情報拡散防止に発信者情報などを明示する「オリジネーター・プロファイル(OP)」技術の重要性を指摘した。 【図表】石破首相の講演のポイント
首相は洋上風力発電が進む北海道や秋田などに半導体企業などの進出が始まりつつあるとして、「産業の国内最適立地を進める。脱炭素電源が豊富な地域に企業の投資を呼び込み、新たな産業の集積を目指す」と訴えた。生成AI向けのデータセンターの段階的誘致などを掲げ、電力需要の飛躍的な増加を踏まえ、「原子力発電の利活用を含め、日本経済をエネルギー制約から守り抜く」とした。
AIを巡っては、研究開発や規制のあり方を定める法案を「次期通常国会に提出したい」と明言した。AIによる偽情報拡散などに対する懸念も示し、「民主主義には健全な言論空間が必要だ」としてOPに触れ、「来歴証明という技術も必要になってくる」と述べた。
外交では、来年1月上旬にマレーシアとインドネシアを訪問する意向を明らかにした。米国のトランプ次期大統領とは「早期に会談を行い、関係を構築したい」と意欲をみせた。日米安全保障体制を外交・安全保障の基軸とし、「国益を相乗的に高め合い、地域の平和に寄与したい」と語った。
重視する地方創生については、地域の魅力を高め、生きがいを持って暮らせる「楽しい日本」を目指すとし、避難所の環境改善などを通じ、「人命最優先の世界一の防災立国を構築したい」と強調した。
首相は質疑応答で理想の国家像を問われ、「国家はインディペンデント(独立)、サステナブル(持続可能)であるべきだ」と主張。現状では人口維持やエネルギー確保、食料自給率の観点で持続可能とは言えず、独立性についても「改善を要する点が多々ある」との問題認識を示した。