J開幕。なぜ神戸のビジャは不発に終わったのか?
ビジャはポドルスキとともに、タッチライン沿いに左右対でポジションを取る。ボールを受けるとドリブル、あるいは味方との短いパス交換を駆使しながらゴール前へ平行移動。前半17分にはわずかな隙を突き、体を捻りながら右足を一閃したが、シュートはキム・ジンヒョンの真正面へ飛んだ。 「僕たちは多くの時間でゲームをコントロールする展開を前提として、チームを構築している。前半にあったいくつかのチャンスを生かせなかったことが、上手くいかなかった大きな要因だが、自分たちのアイデンティティーやサッカーの姿勢はこのまま信じるべきだと思う」 フル出場した37歳の点取り屋は、前半に幾度となく華麗なテクニックを披露。ビッグネームの片鱗をのぞかせた。後半32分に喫した決勝点は右CKのこぼれ球を、DF山下達也に押し込まれたもの。崩されてはいないだけに、ビジャに続いてイニエスタも「全体的にはいい試合ができた」と努めて前を向いた。 しかし、リオネル・メッシを「偽9番」あるいは「ゼロトップ」にすえ、ヨーロッパを席巻したFCバルセロナをダブらせるヴィッセルの選手配置と戦いぶりは、残念ながらセレッソの想定内だった。 「ゴールにつながることが多いので、真ん中で動かれるとやっぱり怖い。今日はサイドに張って、ドリブルで仕掛けてくるプレーがけっこう多かったけど、僕たちもそう簡単には侵入させなかったので」 ビジャの脅威をほとんど感じなかったと振り返ったキム・ジンヒョンは、今シーズンから指揮を執るミゲル・アンヘル・ロティーナ監督による、守備陣へのアプローチをこう明かす。 「いまは監督とコーチが、僕たちがなるべく2対1の(数的優位な)状況を作れるポジションを取らせている。その部分でビジャ選手に一人が外されても、もう一人がすぐにつくことができていた。攻撃面はあまりよくなかったけど、守備だけは監督の求める戦術を実践してくれたと思う」