J開幕。なぜ神戸のビジャは不発に終わったのか?
ボールポゼッション率の勝負では、ヴィッセル神戸に大差で凱歌があがった。しかし、試合終了を告げる主審のホイッスルが鳴り響いた瞬間に、ヤンマースタジアム長居の夜空へ勝利の雄叫びをとどろかせたのは、ホームのセレッソ大阪の選手たちだった。 これでもかとヴィッセルが上手さを見せつけ、スタンドのため息や歓声を誘っても、相手を畏怖させることはできない。スペイン代表で歴代最多となる、通算59ゴールの実績を引っさげて加入した3人目のビッグネーム、FWダビド・ビジャは3本のシュートを放つも不発に終わった。 1-0の完封勝利の余韻が残る試合後の取材エリア。セレッソの守護神、キム・ジンヒョンが残した言葉が、日本中が注目した一戦のすべてを物語っていた。 「相手はほぼ横パスばかりになっていたので、そこまで危ないシーンはなかった。縦パスみたいなものがもっと入ってきていたら、もうちょっと怖かったかな、と思いますけど」 フライデーナイトJリーグとして、他会場に先駆けて22日に開催された2019シーズンの開幕戦。元スペイン代表のMFアンドレス・イニエスタに元ドイツ代表のFWルーカス・ポドルスキ、さらに今シーズンからビジャが加わった新生ヴィッセルがついにベールを脱いだ。 3人のファミリーネームの頭文字を取って“VIPトリオ”なる異名を頂戴した、年俸総額約41億円のワールドカップ優勝経験者のそろい踏み効果もあって、平日のナイトゲーム開催にもかかわらずチケットは前売り段階で完売。スタンドは4万2221人で埋め尽くされた。 指揮を執って2年目となるヴィッセルのフアン・マヌエル・リージョ監督は、稀代のプレーメイカーであるイニエスタを3トップの真ん中、いわゆる「偽9番」に配置。左をビジャ、右をポドルスキにはさまれた状況で、変幻自在にプレーさせた意図を試合後の公式会見でこう説明している。 「チーム全体として目指していたのは、ビジャとポドルスキで相手の5人を引きつけるプランだ。そうなれば、イニエスタが相手のセンターバックから離れてプレーすることができる。ビジャはバルセロナでもスペイン代表でも、元々はあのポジションでプレーすることを得意としていた」