SHIBUYA109“マルキュー”を賑わせた伝説のブランド:ココルルとジャッシーの魅力
ギャル男カルチャーはさらに白熱し、2009年には、渋谷109-2に(現MAGNET by SHIBUYA109)メンズ専門店の「COCOLULU MEN'S(ココルルメンズ)」がオープン。この頃からココルルの専属モデルも起用され始め、2010年代には90年代後半や2000年代初期以上の人気をみせていくようになる。 オープン当初からヒット商品を連発していたことも凄かったが、振り返るとココルルはカラフルで元気なイメージを維持しつつも、ギャルが求める時代の空気感を取り入れるのがとても上手だったブランドかもしれない。 2016年のブランド終了まで、ココルルもミジェーン、アルバローザと同様に、SHIBUYA109だけでなく、平成のギャルカルチャーにとても大きく貢献したブランドだった。
ギャルブランドの中でも異彩を放ったジャッシー
ジャッシーもココルルと同様に、世代によっては2000年代以降のギャル文化のイメージが強いブランドだ。しかし、雑誌で度々特集を組まれるほどにその認知度が高くなったのは1999年辺りからになる。
ジャッシーは同じ原色を使ったデザインの服でも、ココルルや他のギャルブランドのようなデザインではなく、イベントやクラブで目立つようなインパクトのあるデザインの服が多かった。ミージェーンのような大人っぽいリゾート系でもなく、ココルルのような元気なギャル系でもない独自の路線を貫いていた。 もともとジャッシーは他のギャルブランドとは一線を画した、クラブカルチャーの要素が強いブランドだった。1995年頃のジャッシーは本格的なB系ファッションの服を取り扱っており、特にアルタのショップを筆頭に、B系ファッションをクールに着こなすショップスタッフが数多く目立っていた。 1999年に発行された『GAL’sUP!カリスマ☆スタイル』でも、95年頃のジャッシーについて各ショップのカリスマ店員たちが、ジャッシーの店員を絶賛していた。当時のジャッシーについて「店に入るのに緊張していた」とカリスマ店員たちが怯んでいたのには驚いてしまう。 B系ファッションは90年代中頃から徐々に認知されていった。当時は安室奈美恵の全盛期でもあり、B系ファッションの入り口も安室奈美恵からの影響が多かったが、洋楽でも「TLC」や「メアリー・J. ブライジ」など、女子高生の間でもR&Bやヒップホップが人気になっていった時代だった。 実際にカルチャーの感度が高い女子高生は、海外のアーティストからファッションや髪型の影響を受けて真似していた者も多い。 当時のB系ファッションのブランドは、主にSHIBUYA109や新宿アルタなど、ギャルブランドが集結するファッションビルにあったため、「ギャルファッション」のひとつとしてカテゴライズされていたが、一般的なギャルファッションと比べてセクシーな雰囲気がありつつも、独特のアーティスティックな雰囲気があった。 1999年からのジャッシーは、以前のようなB系ファッションの雰囲気を維持しつつも「スポーツテイスト」の要素を取り入れたことにより、ギャルの間でも人気になっていく。 フリースやナイロンなどカジュアルな素材を取り入れ、原色の色使いとボディにフィットするデザインの服は当時のギャルにとっては新鮮に映ったのだ。 またこの頃のジャッシーの人気には、厚底スニーカーブームも一役買った。1999年から2000年はまさに厚底靴がピークの時代でもあったが、厚底靴の人気はブーツだけではなく、スニーカーにも広がった。 厚底スニーカーの代表格である「バッファロー」とジャッシーの服の組み合わせは非常に相性が良く、雑誌でも度々スタイリングされていた。厚底スニーカーの人気とともにジャッシーの服の認知度も高まっていった。 こうしてジャッシーはギャルファッションの中に「スポーティ系」という独自の分野を確立し、それまでの難易度が高いファッションから一新して、ギャル雑誌でも定番ブランドとなっていった。