いきなりステーキ、なぜ高級路線へ?「肉一枚1980円」すき焼き専門店の開業に踏み切った「明快な理由」
焼肉の「炙り」からヒントを得た
一瀬社長はこう続ける。 「会社はこの間、業績回復に努めてきたのですが、社員の皆さんにはディフェンシブなところばかりを見せてきました。そこで会社が新たな試みを行っていることを見せることによって、社員のみなさんが『自分たちのポジションが創造されているのだ』という想いを抱いてほしいと考えました」 ここでの新業態とは、まず「商品力を上げる」こと。そして「いきなり!ステーキ」は海外の牛肉に依存しているため、為替の影響を受けやすい。そこで「和牛・国産牛をおいしく食べる」ことを追求していった。 そこで同社が注目したのが、焼肉店での人気メニューとして定着している「炙り」であったという。薄切りの一枚肉をロースターの上でさっと炙り、生卵をくぐらせて食べるというものだ。 この「炙り」を、これまでの業態開発でノウハウを築いてきた「IHによる温度管理」と「カウンターサービス」に落とし込む。そうして誕生した業態が「すきはな」というわけだ。 「すきはな」のサービスの在り方は現在のものが完成形ではなく、顧客満足度につながるような従業員からの提案を生かし、発展させていくという。店舗展開は現段階で、関東近郊と政令指定都市を想定して30店舗程度とのことだ。 ペッパーフードサービスという会社は幾多の成長と窮地を乗り越え、いま新たなフェーズに立っている。「すきはな」はまさしく会社の姿勢そのものを示しているようだ。 【こちらも読む】『「クリスマスケーキを強制的に買わされる」と嘆くドライバーも...《赤字転落したヤマト運輸》の新サービス「こねこ便420」にも現場から「批判殺到」』
千葉 哲幸(フードサービス・ジャーナリスト)