“動”の仲野太賀ד静”の阿部サダヲが散らす火花 『十一人の賊軍』が映す2024年の真髄
2024年に“クドカン作品”で注目浴びた仲野太賀&阿部サダヲ
そんな仲野と阿部はこの2024年、クドカン脚本のドラマでそれぞれ主演を務めた。仲野は現代の新宿・歌舞伎町の人間模様を描いた『新宿野戦病院』(フジテレビ系)で、そして阿部は昭和と令和を行き来する男とその周囲の人々の姿を描いた『不適切にもほどがある!』(TBS系)でだ。 現代病理ともいえる社会問題やコンプライアンス問題などが物語の中に軽快なトーンで盛り込まれ、どちらの作品も放送されるごとに大きな反響を呼んだものだ。話題性からいっても、2024年のドラマ作品における重要なタイトルだろう。これらを仲野と阿部がハイテンションでそれぞれ背負っていたのだ(『新宿野戦病院』に関しては仲野と小池栄子のW主演作だ)。 両者ともに、『十一人の賊軍』に刻み込んだものとはまったく異なる姿。お茶の間で目にした彼らと劇場のスクリーンで見上げる彼らの存在は、うまく結びつかないほどだ。その振り幅の大きさに、演技者の真髄が表れている。 仲野は現在、舞台『峠の我が家』で主演を務めているところであり、阿部はこの夏に主演舞台『ふくすけ 2024 -歌舞伎町黙示録-』のステージに立ち続けた。このふたりが2024年の国内エンタメシーンの中心的存在だとすることに、誰も異論はないだろう。そんなエンターテイナーにして生粋の演技者であるふたりの激闘が見られるのは、『十一人の賊軍』だけである。
折田侑駿