「新人に可能性感じた」 35人の新入社員が講師、役員に助言 立場逆転の研修を初開催 NEC
新入社員が講師となり、役員が抱える課題をデジタルで解決するユニークな研修が、東京都港区のNEC本社で初めて開催された。今年入社した約680人の新入社員の中から立候補した35人が、35人の役員とともにアプリケーションの開発に挑戦。役員へのヒアリングを通じて課題を洗い出した上でシステムの構想を決め、ノーコードツールを使ってアプリを完成させた。 【関連写真】新入社員が講師となり、役員に助言しながらアプリを完成させた 今回の研修は「リバースメタリング研修」と呼ばれる教育支援制度の一環。若手社員と先輩社員が立場を逆転(リバース)し、若手社員が講師(メンター)となって、学ぶ側のメンティーである先輩社員に助言を行う取り組みだ。 当日は新人と役員が5人程度のチームに分かれ、「NEC社員のウェルビーイングが小さく向上する企画を実装せよ」をテーマにそれぞれ検討。新人たちは、自由な発想で意見を出し合うブレインストーミングなどで役員をリードしながら、問題発見や課題解決のフローを話し合った。 好きな食べ物を共有し、知らない社員同士が昼食をともにしてコミュニケーションを深めるアプリ開発に取り組んだ、新人の一幡大輔さんは「チームの役員と同じ価値観を共感でき、うれしかった。学生時代はコロナ禍で対面での議論の場が少なかったので参加して良かった」と笑顔で語った。 一緒に取り組んだ井手伸博コーポレートSVPトランスポート・サービスソリューション事業部門長は「積極的に意見を出す新人に可能性を感じた」と話した。 グループ企業も合わせると社員数が10万人を超える大企業のNECでは、新人が役員と話す機会はこれまでほとんど得られなかった。研修を企画したNECカルチャー変革エバンジェリストの森田健氏は「入社数年で離職してしまう若手が多い。社内に挑戦する場をつくってやりがいを感じてもらい、外に出てしまうのを食い止めたい」と狙いを話す。今回の成果を踏まえ、来年度以降も実施するか検討することにしている。 NECは、過去最大規模となる1000人以上を今年度のインターンシップで募集するなど、若手人材の獲得を強化している。
電波新聞社 報道本部