【Q&A】「世論調査」って何?
Q:報道機関によって調査結果に差が出るのはなぜ?
(1)調査を実施した時期(2)調査方法――によって結果が変わってきます。 まずは(1)ですが、調査を実施した日時が異なることによって結果に差が生まれます。 次に(2)です。内閣支持率の場合、報道機関によって選択肢や聞き方が違い、そのために数値に違いが出ることがあります。 例えば、ある社では「支持」「不支持」の2つしか選択肢がなく、他の社では支持・不支持に加えて「関心がない」の項目がある場合、「関心がない」に回答が偏ることがあります。 また、支持・不支持を聞いたうえで、いずれでもない回答者に対して「どちらかと言えばどちらですか」「強いて言えばどちらですか」などと質問を重ねる会社もあります。この「重ね聞き」によって支持・不支持ともに数字が高く出る傾向があります。 その報道機関の政治的スタンス、政権に対する論調によって結果が変わるのではないか、と思われることがありますが、必ずしもその傾向はありません。
Q:読者が世論調査を見る際に注目すべき点は?
調査を行った母数に対して実際に回答した人の割合を見てみましょう。その数字が低いと信用度合いが下がります。信頼できる目安は「6割以上」と言われています。 また、単発の調査結果を見て判断するのではなく、同じ報道機関が行った過去の調査と見比べ、「上がっている」「下がっている」などトレンドに目を向けることが大切です。
Q:世論調査の懸念点は?
世論調査の結果が大きく報道されることによって、有権者の判断が歪んだり、投票を控えたりと投票行動が変わってしまうことを懸念しています。 特に選挙報道にともなう情勢調査では、2014年、2017年の衆院選とも事前の報道で自民・公明の連立与党が「300議席うかがう」「300議席に迫る勢い」などと報じられました。そして、開票結果はその通りになりました。 常に、調査時点で開票結果を予測することは大変難しいことですが、投票先を決めかねていた人が、勝ち馬に乗ろうとした結果、勢いのある政党や候補者が更に勢いづく結果になってしまう恐れが生まれます。 また、「自分が投票に行っても行かなくても結果は変わらない」と有権者が感じ、投票率が下がることにもつながりかねず、健全な民主主義ではなくなってしまいます。結果的に、選挙で民意(特に少数意見)が反映されなくなっていくことは好ましくない傾向だと思います。