いま自動車関連企業が大学の自動車部に注目! 大学対抗のモータースポーツ「フォーミュラジムカーナ」に企業の協賛が集まるワケ
企業にとって新たなリクルーティングの場として「オイシイ」
始まる前、自動車部の学生はいい意味でいわゆる「クルマオタク」の集まりだと思っていたが、実際はさにあらず。当然「クルマこそ人生のすべて」といわんばかりの「オタク」もそれなりの数がいるのだが、「クルマには興味があるけれど車種はわからない」、なんて学生もいれば、「自動車部がなんとなく面白そうだったから」などという声が聞かれることもある。普段から相当ディープなクルマ好きに囲まれて仕事をしているWEB CARTOPの編集部員にとって、総じてクルマ好きとはいえ、程度の差や興味の方向まで、これだけさまざまな考え方に触れられることは、じつに面白い体験なのだ。 さて、先ほど「この先の自動車業界を担う人材を育成」というFGのひとつのテーマについて触れたが、じつはFGを通じて企業が人材を獲得する、つまりは就職が決まるというケースも存在する。さらにいえば、交通タイムス社にはすでに2023年にFGに参戦していた学生が1名就職し、新人編集部員として4月から働いているのだ。 企業にとって、人はなによりも重要な資本。多くの場合において、人事のプロフェッショナルが会議室で面接を行い、「人の能力」を見抜き、少しでもその企業にとって役立つ人材を取り込もうとする。それは交通タイムス社においても同様だ。一方で就職を目指す人は、資料などの情報で、自分が本当に入りたい企業であるのかを見極めてエントリーし、面接という限られた場で自分をアピールする。 しかしながら、この面接だけで人材の能力や適性を見抜くのは非常に難しい。加えて、たとえばWEB CARTOP編集部であれば、必要な人材の大前提としてあるのは、「クルマ好き」ということだが、いくらそれを募集要項に謳ったところで、編集部の求めているようなクルマ好きが募集してくるとは限らない。もっといえば、クルマ好きというふるいにかけなければそうそうほしい人材に巡り会えないから、スクリーニングを行うわけだが、その要項で「自分はクルマ好きとまではいえない」と尻込みさせてしまい、じつは潜在的に能力がある人材を逃している可能性もある。そのぐらい、企業が人を採用する、ということは難しいのだ。 そうした観点から見てFGは、簡単にいえば「オイシイ」。クルマに「何らかの」興味がある学生が多数集まっており、練習走行日も含めて2日間たっぷりと、雑談も含めて学生とコミュニケーションをとることができるのだ。もちろん学生にとっても、自動車メーカー、タイヤメーカー、パーツメーカー、そして我々メディアまで、その気になれば幅広く比較してじっくりと見定めつつ、就職活動に繋がる活動ができる。単なる面接ではわからないものを「お互いに」見ることができる、新たなマッチングの場という見方もできるのだ。 もちろん学生にとっての第一義は、モータースポーツに全力を尽くすということであり、協賛企業としては、個々の学生や大学単位での「取り組む姿勢」を見極めつつ、自分達の製品やサービスへの生の声を収集する、という2日間でもある。 こうしたテーマをもちつつ、2025年以降、さらに発展していくであろうFG。より多くの自動車関係企業にとって、注目のイベントとなっていくことは間違いない。
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