<ふれる。>長井龍雪監督×田中将賀対談(1) 青春3部作を経た新たな挑戦 3人の主人公と“ふれる”誕生秘話
--バーでアルバイトをする小野田秋、不動産会社の新卒社員の祖父江諒、服飾デザイナー志望の専門学生の井ノ原優太という主人公3人のキャラクター像はどのように形作られていった?
長井監督 この作品は、“環境によって変わっていく関係性”がストーリーの軸にあったので、3人の関係性をバラそうと。文字設定を詰めていく中で、田中さんにその場で絵を描いていただいて、その絵を脚本のほうにもフィードバックしたりしながら進めていきました。
田中さん 一番最初に描いたのが、幼少期の3人プラス“お兄さん”的存在。実は、最初の企画段階では“ふれる”が人型でお兄さんだったんです。僕の中では、同世代プラスお兄さんがいる「スタンド・バイ・ミー」のイメージでした。秋くんの口下手で手が先に出ちゃうという雰囲気は最初に決まっていて、そんなキャラをすごくきれいな顔の美青年にした。秋くんが決まってからは、僕のキャラクターを作る時のパターンとして、秋が持っていない要素をそれぞれ諒と優太に振り分けてキャラの見た目をバラしていきました。
--主人公3人とひょんなことから同居することになる女性キャラクターの鴨沢樹里、浅川奈南も魅力的です。
長井監督 今回はあくまで男性メインで、女性陣は今までのようなヒロイン的な立ち位置ではないというのが前提にありました。意志の強い樹里と、女の子らしい奈南という性格設定を岡田さんに考えていただいて、田中さんにラフを描いていただきました。
田中さん 女性キャラに関しては、ステレオタイプでどう分かりやすくするか?と。だから、僕の中では樹里は都会の女!という感じにしたかったんです(笑)。最初に僕がイメージしたのは、バブル期のワンレンボディコン感。なので、ロングのストレートというすごく象徴的な髪形にしました。そういうふうにまず樹里を作って、そのカウンターとして、対比する要素を全部奈南に割り当てるという。