<ふれる。>長井龍雪監督×田中将賀対談(1) 青春3部作を経た新たな挑戦 3人の主人公と“ふれる”誕生秘話
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(あの花)」「心が叫びたがってるんだ。(ここさけ)」「空の青さを知る人よ(空青)」。秩父を舞台にした青春3部作を手掛けたクリエーター3人の最新作となるオリジナル劇場版アニメ「ふれる。」が公開中だ。青春3部作と同じく長井龍雪さんが監督、岡田麿里さんが脚本、田中将賀さんがキャラクターデザイン・総作画監督を務め、チームが再結集した。東京・高田馬場を舞台に、不思議な生き物“ふれる”と暮らす青年3人の友情が描かれる本作は、秩父を舞台に思春期の少年、少女たちを描いてきた青春3部作を経た「チャレンジングな作品」だという。長井監督、田中さんに制作の裏側について聞いた。 【写真特集】話題作「ふれる。」 青年3人の幼なじみが手を触れあい 可愛い!キャラも 名場面を一挙に
◇青春3部作から「一歩進めた話に」
--秩父を舞台に思春期の少年、少女たちを描いてきた青春3部作に対し、「ふれる。」は東京を舞台に20歳の青年3人の主人公の友情が描かれます。制作の経緯は?
長井監督 青春3部作が一区切りついたので、そこから一歩進めた話にしようというところから企画が始まりました。早い段階で「上京」というキーワードが出てきて、上京と言ったら東京だよね、と。青年3人を主人公にしたのも、これまで女の子が主軸のお話が多かったので、新しいチャレンジとして、今回は男の子メインでやってみようと。前作までとの対比でどんどん決まっていきました。
--主人公3人は同じ島で育った幼なじみですが、故郷を島とした理由は?
長井監督 秩父は山がちな景色が多かったので、海を出すかという。これまでは、作画カロリー的な問題と、表現方法がなかなか難しいということで海を避けてきた部分もあったのですが、近年はCG技術の発展もあり、遠慮なくできそうだなと。
田中さん 昔、作画アニメで波をやっていた頃は、いかに波打ち際をうまく描くかに苦心していたんです。今回は、3Dとしてサブリメイションさんに入っていただいて、すごくいい波を作っていただいたので、遠慮なく海岸線で芝居ができました。