【新課程共通テストの基礎知識】長文化する英語、1分で150単語…スピード命
5. 「共通テスト利用方式」の今後の行方
大学入試では、共通テストの成績を活用して私立大を受験できる「共通テスト利用方式」という選抜方式があります。共通テストを受けることで国公立大と私立大の両方に出願できるほか、一度に複数の大学や学部・学科を受験できることから、特に国公立大志願者にメリットのある方式として、多くの受験生に利用されてきました。 ところが、23年度入試でこの方式に出願した受験生は、前年度比98%とやや減少傾向にあります。その原因として専門家が指摘するのは、まず私立大志望の受験生が、総合型選抜や学校推薦型選抜といった年内入試に流れていることです。また、共通テストになってから、私立大の一般方式向けの勉強だけで共通テストに臨むことは難しくなっていることも挙げられます。しかも、少子化で受験者数も減少していくことから、今後、私立大専願者の共通テスト離れが起きるだろうと考えられています。 一方、「共通テスト利用方式」で増加傾向にあるのが、国公立大と同様に5科目や6科目を課す多科目型です。多科目型にすることにより、国公立大の志望者が私立大を併願しやすくなり、国公立大の併願としての共通テスト利用が増える可能性があります。 とはいえ、選ばなければどこかの大学に入ることができる時代が、すぐそこまで来ています。「行ける大学」を選ぶのではなく、「行きたい大学」の選抜方式に合わせて準備を進めることがますます大事になります。
6.「メンタルの強さも大事」
東京大学を卒業した今もなお、共通テストを会場で受け続けている東大医学部卒の教育系YouTuberの宇佐見天彗(すばる)さん。共通テストは、「問題文をすべて読み切らなくても答えられたセンター試験と違い、長い文章や資料を読んだ上で判断させたり、考えさせたりする問題が年々増えているのを感じる」と言います。そのため、時間配分が難しく、手を止めずに走り続けないと、全問を解き切れないのだそうです。 一方、東大入学後に起業し、さまざまな教育関連事業を展開する西岡壱誠(いっせい)さんは、25年度からの共通テストの試作問題を解いた感想を「読解力が求められる度合いが増したかな、という程度」と言います。ただし、本番ではプレッシャーから解答に自信が持てなくなってしまうこともあることから、「試験を乗り越えるにはメンタルの強さも大事」と話します。 「共通テストは何かの科目で訳がわからないほど難しい問題が出てきて、心を折られることを大前提にしておいてください。模試などで一度は心が折れる経験をしておいた方がいいかもしれません」(西岡さん)
朝日新聞 Thinkキャンパス