「今年の強みは守備力」…パスサッカーが伝統の大分鶴崎、大分に1-0勝利で14年ぶりの全国切符獲得!!:大分
[11.17 選手権大分県予選決勝 大分鶴崎高 1-0 大分高 レゾナックドーム] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 第103回全国高校サッカー選手権大分県予選決勝が17日に行われ、大分鶴崎高と大分高が対戦。前半30分に奪ったFW安東壮大(3年)のゴールを守り切った大分鶴崎が1-0で勝利し、14年ぶり7回目の選手権出場を決めた。 DF衛藤恵希(高知大)やFW楠元和馬(日本文理大)など、昨年のようなタレントはいないが、足元の技術が高い選手が各所に揃い、どこからでも攻撃をスタートできることが今年の大分鶴崎の強み。自陣からのポゼッションを徹底する大分鶴崎らしさを存分に出せるチームで、首藤謙二監督の「力を出せば勝てると信じていた」との期待通り、全国行きをつかみ取った。 ただ、試合の入りは思い通りに力を出せずに苦しんだ。1月末の新人戦、6月のインターハイ予選はともに準々決勝で敗れており、今年のチームにとって初の決勝。序盤は自陣でのミスを大分に狙われ、押し込まれる場面が続いた。 大分にとって最初の見せ場は前半7分。右に開いてボールを受けたFW松岡裕太(2年)がゴール前にスルーパスを送り、走り込んだMF清水和(3年)がGKとの1対1を迎えたが、GK大倉公亮(2年)が落ち着いて前に出て対応し、シュートを打たせない。9分には中盤で奪ったMF岡松愁人(2年)が左前方に展開し、清水のパスから松岡がゴールを狙ったが、ブロックに入ったDFが防いだ。 以降も自由自在に動く清水を中心に大分が見せ場を作ったが、大分鶴崎はチーム全体での守備意識を高く保ち、失点を回避。首藤監督は「堅くなるのは想定内で、そこでやられなかったのは大きかった」と振り返る。 時間の経過とともに大舞台での雰囲気に慣れ、大分鶴崎がボールを動かす時間が増えると、30分には右サイド高い位置でスローインを獲得する。DF東喜礼(3年)が中に入れたボールをFW岡部遥(3年)がダイレクトでPAの右ポケットに落とすと、走り込んだMF野々下蒼斗(3年)がゴール前にパス。最後は「10番なので自分が点を決めて優勝させるつもりで試合に挑みました」と口にする安東がスライディングで合わせ、ゴールネットを揺らした。 準々決勝と準決勝は無得点に終わり、「点を決めるためにしっかり中に詰める、ゴール前でしっかり狙う」(安東)意識を高めて決勝に挑んだ10番が仕事を果たし、大分鶴崎が1-0で前半を終えると後半は攻撃の勢いが加速していく。 前半と比べてCBが前に出て、きっちり一つ目の競り合いに挑めるようになったことでボール奪取率が増加。マイボールにしてからは前方にパスを入れて、相手陣内での時間を増やしていく。「相当伸びてくれた」と首藤監督が評するFW三浦大雅(3年)もスピードを生かして積極的に右サイドを仕掛けた。 後半17分には三浦を起点に右サイドを連携で崩して、中に入れたボールを岡部がシュートも枠の上。32分には右からのパスを右中間で受けたMF河野歩夢(2年)が中に流れながらゴールを狙ったが、DFに阻まれCKとなった。37分にはDF高野将大(2年)が打ったシュートのこぼれ球を拾って、河野に繋いだところを倒され、PKを獲得。このチャンスは大分GK宿利一冴(3年)に阻まれて追加点を奪えなかったが、大分鶴崎らしさを発揮し、1-0で勝利した。 リズミカルなパスサッカーがチーム伝統のスタイルではあるが、今年の夏は「切り替え3秒」というテーマを掲げ、ボールを失っても即時奪還する意識を高めてきた。「守備を献身的にやらないと試合に出さないとやってきた」(首藤監督)こともあって、中盤や前線の選手も守備でサボらない。ハイボールに積極的にチャレンジする187cmの守護神、大倉の存在も大きい。「今年の強みは守備力。そこから攻撃に繋がって点が入る。1点入ったら、守ってくれるという安心感がある」(安東)。 全国の舞台でも大分鶴崎らしさを発揮できれば、必ず勝機は訪れる。「鶴高らしいパスサッカーで、一勝でも多く勝っていきたい」。そう意気込むのは安東で、更に鶴高らしさに磨きをかけて全国に向けた準備を進めていく。 (取材・文 森田将義)