「日朝連絡事務所」に言及せず 石破首相の所信表明に救う会・西岡力会長「ほっとした」
石破茂首相は4日の所信表明演説で、日米同盟を強化しつつ、韓国との緊密な連携や中国との対話を重視する外交方針を示した。岸田文雄前首相の路線を受け継いだ形で、北朝鮮による日本人拉致問題についても、岸田氏と同様に「時間的制約」がある問題だとし、「すべての拉致被害者の一日も早い」帰国の実現に取り組む決意を示した。 【写真】寄居中学校の校庭で、桜を背にたたずむ横田めぐみさん。数日前の入学式を風疹で欠席し、父の滋さんが連れ出して撮影した 「岸田総理が尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領との間で築かれた信頼関係を礎に、日韓の協力をさらに強固で幅広いものとしていく」 石破首相は演説で、日米同盟が日本外交・安全保障の基軸であることを確認し、その抑止力・対処力を強化する方針を示した後、岸田氏と尹氏の下で大きく改善した日韓関係の発展に取り組む姿勢を打ち出した。 対中関係でも岸田氏が昨年11月、中国の習近平国家主席との間で再確認した「戦略的互恵関係」を包括的に進める考えを示し、「建設的かつ安定的な関係」という岸田氏が好んだフレーズを盛り込んだ。その上で首相は中国広東省深圳で9月、日本人の男子児童（10）が中国人の男に刺殺された事件に言及し、「断じて看過しがたい」と強調した。 拉致問題については「政権の最重要課題だ」とし、北朝鮮との諸問題の解決に向け、総力を挙げて取り組むとした。 「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」（救う会）の西岡力会長は「『時間的制約のある人道問題』『国家主権の侵害』という言葉が入った一方、懸念していた連絡事務所（の平壌での開設）という言葉はなく、ほっとした。この路線でやってほしい」と話した。（原川貴郎）
