あの『ドミノ・ピザ』が80店舗閉店! "宅配ピザ"という文化は終わったのか!?
宅配ピザ業界が苦境に立たされているような数字が相次いでニュースになっている。実際のところはどうなのか? 飲食業界に詳しい専門家に分析を加えてもらった。 【表】ピザ宅配主要チェーン店舗数推移(2023~2024年) ■閉店ラッシュの数字もよく見ると ドミノ・ピザが最大80店舗の閉店を決定したという「閉店ドミノ」なるニュースが流れた。やはり宅配ピザ業界は今、苦境に立たされているのか。外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一氏はこう語る。 「いや、ドミノ・ピザの閉店はコロナ禍バブルの過剰投資の整理というだけでしょう。ドミノ・ピザは、コロナ禍前はおよそ600店舗くらいでしたが、1.67倍まで伸ばし、昨年1000を超える店舗数になりました。 この店舗数はアメリカに次ぐ数で世界的にもかなり多い。そのうちの80店舗の見直しで、撤退しても900店舗は残っているので、店舗数自体はコロナ禍前の実質1.5倍になっています」 経営コンサルタントの岩崎剛幸氏も続ける。 「宅配ピザ店の倒産が2023年に過去最多になったとのニュースもありましたが、過去最多とはいいつつも、年間で13件。前年は年間6件で、確かに2倍以上にはなっていますが、宅配ピザ店って小さなお店も入れると全国に3000店舗くらいあるんです。その数を考えれば、割合的にはかなり少ない。 そもそも、ピザ自体がデリバリーサービスにおける人気のトップです。店舗数もかなり多いので、倒産件数が多く見えるのは仕方ないことかなと思います」 あれ。いきなり前提だった「苦境」とは反対の答えが返ってきた。ウーバーイーツや出前館などのデリバリーサービスの進出で選択肢が増え、宅配ピザは下火なのでは? 堀部氏はこう答える。 「むしろ出前館が苦境で、直近第1四半期での売り上げは93%。オーダー数も1年前に比べて90%。そして、ユーザーも27%減っているんです。これは経営側からしたら震えるような落ち込みです。コロナ禍で、赤字でも広告宣伝を費やして、ユーザーを増やしたのが裏目に出て厳しくなっているというところです。 一方、宅配ピザがそこまで落ち込んでいないのは、顧客名簿を持っていることが大きいんです。例えば、デジタル中心のユーザーには個別にメールでクーポンを送ったりもできますし、地方エリアには誕生日やお盆などにはがきを送ったりと販促を打てるんです。