「英国」を大阪に伝えて半世紀超 阪急百貨店、本物にこだわるフェア 日本語禁止の催しも 昭和100年だヨ!全品集合 阪急百貨店編
60歳で定年退職した細見さんは4月から神戸大学大学院の国際文化学研究科に入学。本物の学生になり『阪急英国フェアの歴史的展開と文化的意義』―その文化展示と「英国紅茶イメージ」の創出―で博士号を取得。実におもしろい人なのだ。
■日本語禁止でも大盛況
「憧れのカントリーサイドへ、ようこそ」と銘打って開かれた平成27年の「英国フェア」は趣が違った。
なんと、会場では日本語禁止。お客さんもスタッフも話していいのは英語だけ。フェアのテーマは「紅茶」だった。
英国のニューカッスル地方に店舗を持たず、馬車で売り歩いたという1907年創業のティーバッグの紅茶メーカー「リントンズ」がある。桑原さんは現存する3台の馬車のうち1台を博物館から借り受け、祝祭広場に展示。さらにリントンズのオーナー夫妻を日本へ招き、創業当時のエドワード朝の服装でティーバッグ紅茶をレクチャーしながらふるまった。
「通訳をつけると時間が倍かかるし、通訳が紅茶に精通していなければ通じない。『だったら英語の分かる人にきてもらおう』ということになった」
「反対? もちろんありましたよ。でも、開催中はずっと大入り満員でした」と桑原さんは振り返る。
細見さんによると、「英語で話したかった、という大阪の女性たちがいっぱい集まった」そうだ。(田所龍一)