日鉄社長「課題は脱炭素」 新任の今井氏、業界を先導
日本製鉄社長に1日付で就任した今井正氏(60)が、3月31日までに共同通信などのインタビューに応じ「最も大きな課題は脱炭素だ」と述べ、鉄鋼業界のリーダーとして温室効果ガスの排出削減に率先して取り組む考えを示した。当面、最も大きな課題である米鉄鋼大手USスチールの買収実現については「交渉相手となる全米鉄鋼労働組合と誠実に話をするしかない」と語った。 今井氏は国内製鉄所での勤務が長く、製鉄時の二酸化炭素(CO2)排出量が高炉に比べ少ない電炉の推進を担ってきた。日鉄は瀬戸内製鉄所広畑地区(兵庫県姫路市)と九州製鉄所八幡地区(北九州市)で、2030年度までに大型電炉を本格稼働させる計画だ。今井氏は計画の具体化に向け、投資額などを判断する時期が近づいていると説明した。 脱炭素に向けては、従来の石炭の代わりに水素を使った製鉄法の確立も鍵になる。今井氏は「高炉の中での技術開発だけでなく、水素を確保するサプライチェーン(供給網)の問題がテーマになる」として、政府にインフラ整備などの支援を求めた。