イオン、女性経営者を10カ月集中育成 244店束ねる九州営業トップ輩出
プログラムでこだわったことの2つ目が、23年から始めた異業種交流だ。「社員の傾向として内向きなところがあり、外を知ることが重要」(イオンの江藤室長)と考えた。実は22年の第1期でも実施していたが、「名刺交換をして、少し話すぐらいで終わってしまった」。 この反省を踏まえ、相手をより慎重に選定、きちんと場を設定した。まずダイバーシティー推進企業を表彰する社内アワードの審査員を務めている「ワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクト」に同プロジェクトの加盟企業へ呼びかけてもらい、様々な企業から約20人が参加した。 異業種交流会の当日は、ワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクト共同代表で、東京大学名誉教授の佐藤博樹氏らが「部長・課長・担当職の役割の違い」などを講義。その後、グループごとにディスカッションし、ランチ懇親会も開催した。 「メニューを練り、話すテーマを設定。かつ半日かけて実施したのが良かった。自由に話してほしいというだけでは交流はさほど深まらない」(江藤室長) ●「壁は自らつくり出しているもの」 内田氏は「壁は自らつくり出しているもの。それを自分で取り払えば、乗り越えられる」と話す。そのとき力になったのが育成プログラムと仲間だという。「ビジネススクールの先生に学んだり、イオンの取締役に議論した内容を発表してコメントをもらったりする中で、自信がついた。研修で出会った仲間がそれぞれの場所で頑張っていると思うと心強い」 プログラムを企画した江藤室長は「内田さんを筆頭に、研修終了後に重要なポストに昇進を果たした女性が出てきている。今後、プログラムを継続して点を線に、線を面にしていきたい。面になったときに、グループ全体のイノベーションや成長につながるような存在になっていくと期待している」と話す。
荻島 央江