センバツ2022 近江ナインの原動力 強い心身、地獄坂で きょう 聖光学院と2回戦 /滋賀
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に4年ぶり6回目出場の近江は24日、午前中に同校グラウンドで練習した後、午後から大阪市内の宿舎に向かい、聖光学院(福島)との2回戦(25日午前9時開始予定)に備えた。 20日にあった初戦はタイブレークを制して勝利。その原動力となった、決して諦めない強い心を育んだ場所の一つが、同校から約600メートル北東の大洞山(標高211メートル)中腹に建つ大洞弁財天(彦根市古沢町)だ。 今年の練習始めとなった1月5日。選手たちは弁財天で新年の誓いを立てた。山田陽翔主将(3年)をはじめ、全選手はピカピカの坊主頭。神妙な表情で初詣を済ませると、近江野球部名物、坂道ダッシュが始まった。 山のふもと、彦根藩初代藩主・井伊直政らをまつる井伊神社の鳥居横から続く参道坂道は約400メートル。マネジャーの合図で、3人1組で坂を全力疾走する。登り切ったら歩いて坂を下り、それを20本繰り返す。最初は「きついわー」と軽口も混じるが、5本目にもなるとみな無言となり、10本目を過ぎるとダウンする者も現れる。それでも歩いて登り切り、スタート地点に戻って再び坂に向かう。ふらふらになっている仲間を、先輩、後輩関係なく「大丈夫か」「頑張れ、あと少しだ」と励まし合い、約1時間後に全員が完走した。 野球部OBでもある武田弘和部長(40)は「足腰の鍛錬もあるが、苦しい練習を全員で乗り越えたという経験が、精神的強さや仲間との一体感を生み、ここ一番での力になる」と説明する。その成果を、甲子園の舞台で発揮する。【礒野健一】