W杯で復活を果たしたオランダ その背景とは
ワールドカップ開幕前、完全にノーマークだったオランダの評価が高まっている。初戦のスペイン戦を5-1で勝つと波になり、グループリーグを3戦全勝で突破し、決勝トーナメントではメキシコ相手に2-1の逆転勝利を演じ、ベスト8進出を決めた。準々決勝の相手はコスタリカとあって、ベスト4進出の可能性は高い。 今からわずか2年前、ユーロ2012を優勝候補として参加したオランダは初戦のデンマーク戦で躓くと脆くも崩壊し、3連敗で姿を消した。当時と比べ、オランダの戦力が上がっているとは思えないが、ベルト・ファン・マルワイク前監督の後任者、ルイ・ファン・ハール監督は数少なくなったスター選手と、エールディビジでプレイする無名若手選手を巧みにミックスさせ、ワールドカップ優勝を狙えるチームに作り上げて来た。 2012年7月の代表監督就任時から一貫してファン・ハールが言い続けて来たのがコンディションの重要性である。ワールドカップ予選の初戦、対トルコを前にファン・ハール監督は4人の有力選手、ラファエル・ファン・デル・ファールト、ナイジェル・デ・ヨン、イブラヒム・アフェライ、グレゴリー・ファン・デル・ウィールを選考外にすることを明らかにした。「彼らは所属先のクラブで出場機会が限られており、今は新たなクラブを探しているところ。彼らが再び代表入りするドアは開かれているが、先ずは自分自身でその道を切り開いて行かないといけない。私からすれば、選手が結果を出すためには身体がフィットしてないといけない。この4人は最近、あまりにプレイする時間が短すぎる」(ファン・ハール監督)。 ファン・ハール率いるオランダ代表立ち上げ時のキャプテン、スナイダーも例外ではなかった。2013年6月のアジア遠征で主将の腕章をファン・ペルシに譲ったスナイダーは、とうとう8月のポルトガル戦でメンバーから外された。メンバー発表時のファン・ハール監督のスナイダー批判は激しかった。「彼は先ずフィットしないといけない。彼が調子を取り戻したとき、私は初めて彼を他の選手と比べられる。彼は自分の力を出さないといけない」。その後、スナイダーは奮起し、K1ファイターのグーカン・サキに弟子入りし、完璧な状態でワールドカップ前の合宿に合流し、指揮官を歓喜させた。