「日本人の給料が安すぎる」は本当なのか
なぜ時給が上がっているのか
『ほんとうの日本経済』では、時給について掘り下げて分析しているが、時給が上昇している現実をどのように見ればよいだろうか。 〈近年、時給が上昇しているのは、年収が微増にとどまる一方、労働時間が大幅に減ってきたからだ。同じく10年前と直近の数値を比較すると、年間総実労働時間は1753時間から1653時間へと大きく減っている。 つまり時給が上がっているのに、収入が上がっていないという認識が生まれるのは、労働時間が大幅に減っているからだといえる。 時給上昇という果実を労働時間の縮減に使うか、年収の増加に使うかという意思決定はあくまで働く人それぞれの選択である。 より短い時間でそれなりの報酬を得たいという人が増えたから、現在のような労働時間の減少を伴う賃金上昇が起きているのである。〉(『ほんとうの日本経済』) つづく「多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体」では、失われた30年を経て日本経済はどう激変したのか、人手不足が何をもたらしているのか、深く掘り下げる。
現代新書編集部