"高温多湿"の沖縄でも断熱リフォームは必要? 地域の気候と文化の難題向き合い光熱費42%削減!?
光熱費の値上げが家計の大きな問題になっている昨今。電気の価格は、各地の電力会社によって差があります。2023年6月に国内の大手電力会社7社がいっせいに電気料を値上げしたなか、沖縄県は33.3%と7社の中でも2番目に高い上昇率。冬も暖かい沖縄県内はこれまで「断熱」「省エネ」の認識が低かったのですが、いよいよ無視できない状況になっています。リノベーション会社アーキラボラフィット(RENOBEES)(沖縄県沖縄市)は高断熱性能の賃貸&全館空調マンションに挑んでいますが、「ひと筋縄ではいかない」といいます。 モデルルームとしてリノベーションをした、沖縄市にある2LDK・55平米の中古マンションで沖縄の断熱最新事情のお話をうかがいました。
全館空調システムを1室からリノベーションで実現
モデルルームで出迎えてくれたのは、代表取締役の德里政俊(とくざと・まさとし)さんと取締役/プランナーの嘉手苅麗子(かでかる・れいこ)さんです。 「ここ沖縄県でも、多くのご家庭が光熱費の高騰に頭を悩ませています。しかし、寒冷地域とは異なり、断熱に目を向けるご家庭は多くありません」。2級建築士資格を持つ徳里さんはそう話します。 たしかに、沖縄県に住んでいる筆者の周りでも「断熱」という言葉を耳にしたことは皆無です。よく耳にするのは、台風時の豪雨や強風による浸水、雨漏り、破損などをいかに防ぐか。沖縄独特の瓦や、石造りの家などがこれに当たります。もしくは、湿度の高い沖縄で、カビを防ぐためにいかに風通しを良くするか、などです。 また、夏の気候が長く続く沖縄では、時に10月、11月になっても冷房つけているご家庭も。当然ながら、その時期は電気代が跳ね上がります。 しかしこうした冷房も、実は断熱住宅のほうが機密性が高く、長く涼しさが続くとされています。 「マンション1室まるごとを全館空調で管理する場合は、通常の家で使う部屋だけにクーラーをつけているよりも光熱費が安くなるケースも多いのです」(嘉手苅さん) いったいどういうことなのか、さっそく室内を拝見してみましょう。