あれがエラー?!連続無失策記録が「569」でストップした広島“名手”菊池涼介の失策判定に疑念の声
ネット上でも「人間だからミスはある」「これでプレッシャーから解放される」などという激励の声と共に「あれは内野安打では」「菊池だからこその名誉エラー」「無理に突っ込んでいなければただのヒット」など、判定を疑問視する意見も少なくなかった。 エラーか、ヒットかの判断は、試合に派遣されている公式記録員の判断に委ねられている。 専門家の目にはどう映ったのか。 日ハムでの現役時代にショートでダイヤモンドグラブ賞を一度受賞。広島、ロッテ、中日、日ハム、オリックス、阪神で内野守備走塁コーチなどを歴任し、「侍ジャパン」でも、2度、内野守備走塁コーチを務めた”守りのスペシャリスト”でもある評論家の高代延博氏も憤慨していた。 「ヒットか、エラーか、公式記録員が判断に迷うプレーは年に何度かあるが、今回は100%ヒットと判断すべきプレー。映像で何度も確認したが、桑原の足と実際のタイミングを検証するとたとえ打球を弾かずに捕球して、完全なプレーをやり遂げたとしてもセーフになっていた可能性が高い。名手の菊池ゆえ厳しく見たのかもしれないが、菊池は、連続無失策記録を続けている人物。普通の二塁手であれば、ああいうチャレンジなダッシュはしない。待って打球を処理しているところ。打球を弾いたからと言って、それをエラーにするのは、あまりに残酷だ。プロ野球を潰し、プロ野球ファンを失うような判断。菊池だけではなくヒットを失策にされた桑原も含めて誰も喜ばない。プロのプレーは、公式記録員というプロが根拠をもってプロらしく判断してもらいたい」 厳しい意見を述べた高代氏は、こんな提言をした。 「今からでもまだ遅くはない。昨年も一度、失策をヒットに訂正したケースがあった。記録を訂正できないものか」 実は、昨年8月11日の中日戦で、京田陽太が放った二塁へのライナー性の打球を菊池が取り損ねて失策と記録されたが、実は広島側ではなく中日側が「空中で打球が不規則に変化していた。京田のヒットではないか」と文書で異議を申し立て、セ・リーグは、映像を検証した結果、空中で打球がレギュラーしていたと認め、翌日に「失策」を「ヒット」に訂正する異例の措置を取っていた。今回も広島側ではなく、ヒット性の打球を失策と記録された横浜DeNA側が異議を申し立てる必要があるのだろうが、まだ一部で疑念を持たれている失策記録が訂正される可能性も残っている。 公式記録員については、一部に本格的な野球経験者がいないこともあって、以前から現場では「プロで野球をやったこともない人間に判定はできないだろう」との不満の声がずっと聞こえていた。
ちなみに高代氏は、菊池の守備の上手さの理由をこう分析している。 「菊池の凄さは、ポジショニングと身体能力の高さ。”なんでそこにいるの?”と苦汁を飲まされたことが何度もあった。球際の強さも特長のひとつだが、その理由は、打球に対してのグラブの角度が常に安定していることと、準備の早さがある。いい内野手は打球を処理する際に打者側から見てグラブのポケットが見えている時間が長い。菊池もその一人。だから今日のように打球を弾くというミスがほとんどない。彼が打球をこぼしたこと自体がレアケースだった」 たとえ記録が訂正されないにしろ、「エラーがニュースになる男」は、連続無失策記録にゼロから再挑戦するだろう。