引退の「ドクターイエロー」人気加速 イベント競争率100倍、リニア・鉄道館に展示検討へ
JR東海が保有する東海道・山陽新幹線の点検車両「ドクターイエロー」(T4編成)への注目度が、1月の引退を前に加速している。2月に予定する「さよならイベント」の倍率は100倍を超え、グッズの売り上げも好調。また、引退後は同社が運営する「リニア・鉄道館」(名古屋市港区)での静態保存に向けた検討を始める方針で、神出鬼没なダイヤのため「見ると幸せになる」という人気者は、これからも幸運を振りまいてくれそうだ。 【写真】リニア・鉄道館で展示されている先代ドクターイエローのT3編成先頭車 黄色い車体のドクターイエローの正式名は「新幹線電気軌道総合試験車」。非公表のダイヤで東京-博多間を最高時速270キロで走りながら、電気設備や線路の状態をチェックしている。JR東海とJR西日本(T5編成)が1編成ずつ所有しているが、老朽化を理由に昨年6月、T4編成は今月限り、T5編成も令和9年をめどに運行を終了すると発表された。 幸せの黄色い新幹線の引退は反響を呼んだ。JR東海が運営する通販サイト「JR東海MARKET」では、発表前後の1週間でドクターイエロー関連商品の売り上げを比較すると約10倍に増加した。リニア・鉄道館のミュージアムショップでも約1・6倍に増え、現在も関連グッズの売れ行きは好調という。 また、同社は引退に合わせて今月24日に品川-新大阪間で体験乗車、2月1日に大井車両基地(東京都品川区)で車両のおそうじ体験イベントを開催する。T4編成に触れる最後の機会ということで、おそうじ体験はわずか7日間の申込期間にもかかわらず、募集定員約200人に対して2万人超の応募者が殺到し、倍率は約115倍だった。 T4編成の最後の検測走行については「予定はお知らせしておりません」と最後までドクターイエローらしさを貫く。以降はT5編成が単独で運用に入る。引退後のT4編成だが、JR東海では「一部の車両をリニア・鉄道館で静態保存することを今後、検討していく」としている。公開するかどうか、保存の方法などを詰めていく方針だ。 現在、同館では前面が0系のような「団子鼻」が特徴になっている旧タイプのドクターイエロー「T3編成」が展示され、来館者の人気を集めている。この車両はJR西日本の所有。このほど、JR西に返却されることとなり、北陸新幹線沿いに昨春にオープンした観光施設「白山市立高速鉄道ビジターセンター」(トレインパーク白山=石川県白山市)で今春以降、展示されることになった。