キュウソ、サンボ、Dragon Ashらが東京ガーデンシアターで競演! 『ビクターロック祭り2024』オフィシャルレポート
ビクターエンタテインメント主催のロックフェスティバル『ビクターロック祭り2024』が、11月30日に東京・東京ガーデンシアターで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。 【全ての写真】『ビクターロック祭り2024』全8組のライブ写真 ■tight le fool(O.A.) オープニングアクトとして『ビクターロック祭り2024』の幕を切って落としたのは、オーディション「ワン!チャン!!~ビクターロック祭り2024への挑戦~」でグランプリに輝いたtight le foolだ。2023年4月に結成されたばかりの福岡発の4ピースバンド。朝一番に会場に駆けつけたロックファンの温かな拍手に迎えられたメンバーは、挨拶代わりにジャーンと一発鳴らしてみせた。そのみずみずしいサウンド、金髪が眩しいフロントマンRIKU(g/vo)が叫ぶ数々の言葉からはバンドの気合いが伝わってくる。 1曲目は「リフレインガール」。RYOTA(ds)、KENSHIN(b)が織り成す軽快なリズムに手拍子が起き、TAKUMI(g)が体を動かしながら楽しそうに紡ぐフレーズが、観客の心をもっとオープンにさせる。曲中RIKUが「盛り上がってるか、ロック祭り!」と投げかけた頃には、バンドの鳴らす音に誘われてか、フロアには開演時よりも多くの人が。ここでRIKUは「こんな景色を見られて、音楽やっててよかったなと思っているんですけど、今日の経験を自慢じゃなくて自信に変えてもっと高く飛びたいなと思ってます」と意気込み、コール&レスポンスを実施。演奏を止めて観客に歌を任せたクライマックスでは、〈一切合切金輪際もう関わらんといて〉というフレーズが会場に響いた。 「もう最後だけど僕たちの全部を届けて帰ります!」という言葉通り、「ラブロマンス」を全身全霊で鳴らしきり、ステージをあとにしたtight le fool。"等身大の音楽をあなたに"をテーマに楽曲を奏で、恋愛ソングで共感を集めつつある彼らだが、心から音楽を楽しむ4人の気持ちがダイレクトに伝わってくるライブも素敵だった。去り際にはRIKUが「愛してるぜー! 次はメインアクトで戻ってくるよ!」と宣言。ここから終演までライブを楽しむオーディエンスに対し「ビクターロック祭り、まだまだここから一緒に楽しんでいこうね」と伝えつつ、大きく手を振るメンバーはとてもいい笑顔だった。 Text:蜂須賀ちなみ ■THE BAWDIES オープニング・アクトのtight le fool(「ワン!チャン!! 2024のグランプリバンド」)が終わり、しばしのブランクを経て、開演予定時刻の14:00ぴったりから、今日の出演者を紹介するナレーションが流れる。 その末に「祝・結成20周年、メジャーデビュー15周年!」というアナウンスと映像で紹介された、10回目の『ビクターロック祭り』のトップを飾るのは、THE BAWDIESだ。 SEの「ダンス天国」に乗って、シャウトを一発決めてからベースを持ったROY(b/vo)が、「ロックンロール界のお祭り番長、THE BAWDIESだー!」と挨拶。オーディエンスに「イェー!」のコール&レスポンスを求め、「その前に、お腹が空いたらホットドッグ!召し上がれ!」と、「HOT DOG」でロケットスタート。間奏ではJIM(g)がステージ前に跪き、ギターソロを弾きまくる。 続く「GIMME GIMME」では、ROYがイントロでも間奏でもシャウトしっぱなし。「お祭りごとですから、みんな一緒に行きましょう! 曲を知らない人は、一番を聴いてみてください、THE BAWDIESの曲、それで二番三番を歌えます!」と曲に入った「LET’S GO BACK」では、その言葉どおり、〈♪PAPAPA〉のシンガロングが響いた。 「POPCORN」では、ROYの「跳べー!」という号令で、オーディエンスみんな延々とジャンプ、そして後半のブレイクではROYのリクエストで、腕を高く挙げて延々と高速ハンドクラップ。みんな大変そう。でも楽しそう。 「今日集まってくれた皆様へ、そしてビクターへ愛をこめて、ラブソングを」と始まった「SUGAR PUFF」が、この日唯一の、参加者がクールダウンできた曲だった。 「ビクターロック祭りも10周年、THE BAWDIESは結成20周年、デビュー15周年でございます。この数日後、ビクターを背負って、日本を背負って、オーストラリア・ツアーに行ってきます」とROY。「遅れないでついて来てください! 遅れるとこうなります!」という言葉から歌われるのは、もちろん「IT’S TOO LATE」である。サビでオーディエンスの腕が、左右にブンブン振られまくる。 ROYの「T.I.A.!」と、オーディエンスの「T.Y.I.A.!」の掛け合いが繰り返された「T.Y.I.A.」を経てのラスト・チューンは、「JUST BE COOL」。「我々がトップバッターを任されたのは、どういうことかわかっております。打ち上げ花火を上げてくれ、ということだと思うんです。みなさん打ち上げ花火になってください!」というROYのアオリに応えて、アリーナもスタンドも、THE BAWDIESのファンもそれ以外も含めて、腕を挙げたオーディエンスが一斉に跳び続けるさまは、壮観だった。このバンドにトップをオファーしたの、大正解だと実感する。 この曲の最後のブレイクで、ROYは、肺活量どうなってんだと言いたくなるくらいの、長い長いシャウトを聴かせた。嵐のような35分だった。 Text:兵庫慎司 ■ヤバイTシャツ屋さん 「ビクターロック祭り『ワン!チャン!!』初代グランプリ、ヤバイTシャツ屋さん、8年ぶりに帰ってまいりました! ユニバーサルミュージック代表、やらせていただきます!」 今年の『ビクターロック祭り』には、10周年を記念して、レーベルの垣根を超えてゆかりのあるアーティストが集結した。ヤバイTシャツ屋さんとの縁は、こやまたくや(g/vo)が冒頭で言っていた通り、彼らがメジャーデビューをする前から。振り返ればヤバTはあの頃から、人を巻き込むライブをするバンドだった。しかし今は当時の比ではないと、1曲目の「あつまれ!パーティーピーポー」の鳴りように実感させられる。屈強なバンドサウンド、誰に対しても門戸を開くキャッチーな楽曲、遊び心と発明がいっぱいの歌詞。フロアから熱いリアクションが上がるまでが本当にあっという間だ。東京ガーデンシアターいっぱいにハンドワイパーの海が広がっている。 4曲を演奏したあとのMCでは、2016年当時の話題になった。こやま&もりもと(ds/cho)の「普通やったらビクターに所属するところをスルーしてますから」「そんな、みなまで言わなくても(笑)」という掛け合いを、ありぼぼ(b/vo)が「でも、ビクターとユニバーサルミュージックの架け橋ですよ」と綺麗にまとめ、ありぼぼ提案の動き(ユニバーサルのロゴをイメージしたジェスチャーをしながら、ビクターのシンボル・ニッパーのように「ワン」と言う)をみんな一緒にやることに。 その後はこやまが「実は1枚だけビクターからCDを出してるんです。そのCDに入っている曲を歌います」と切り出し、2016年に881時間&881枚限定リリースされたシングル「そこまでレアじゃない」の曲を収録順通りに披露した。シングルからの1曲目「喜志駅周辺なんもない」は、2016年にオープニングアクトで出演した際にも演奏していた。当時はフリップで喜志駅周辺について説明する演出があったなと懐かしい気持ちになるが、今は知っている人も知らない人も全員巻き込んで〈サンプラ行ったら挨拶しようか迷う感じの知り合いが居る!〉の大合唱を巻き起こしている。 曲中にはこやまが「ビクターのアーティストカッコいい」「ビクターのスタッフセンスいい」と歌い、もりもとが「媚び売りすぎ。ユニバーサルがかわいそう」と笑う一幕も。「ネコ飼いたい」と続き、NHK『おかあさんといっしょ』のエンディングテーマのカバー「スプラッピ スプラッパ」に関しては、「これ、ビクターの人が許可とってくれたんでCDに入れられました!」と語られた。ライブから浮き彫りになるのは“真面目に不真面目”的なバンドの変わらぬスタンス。そしてバンドを支える周囲の人たちへの感謝。湿っぽいシーンは一切ないが、メンバーの想いは音や歌にしっかり乗っている。楽しくてグッとくるライブだ。 「新曲聴いてください!」と今年リリースの「すこ。」、「なんだかセキュリティさんたちがすごく暇そうにしてるんですけど! もっと、むちゃくちゃやれー!」と「無線LANばり便利」で熱く温かく幸福な空気を生むと、「かわE」でフィニッシュ。「呼んでくれてありがとうございました!」と叫びながらこやまが掻き鳴らしたギターの音は、観客の胸の内でしばらくこだましていたことだろう。 Text:蜂須賀ちなみ