キュウソ、サンボ、Dragon Ashらが東京ガーデンシアターで競演! 『ビクターロック祭り2024』オフィシャルレポート
■Dragon Ash トリ前のポジションを任せられたのは、『ビクターロック祭り」最多出演数を誇るDragon Ashだ。1曲目は「Entertain」。メンバーがひとりずつ順に登場し、音を重ねるオープニングを経て、躍動的なサウンドがステージ狭しと溢れ出す。Kj(vo/g)が〈その声を僕に 聴かせて〉と歌うと、観客はシンガロングしたり、ビートに合わせて飛び跳ねたりして反応。「ミクスチャーバンド、Dragon Ashと申します」という名乗り、そして「ROCKET DIVE」にも歓声が上がった。バンドの鳴らすサウンドはどこまでも肉体的で、聴く人の細胞に直接訴えかけ、揺らしていく。特にBOTS(DJ)もパーカッションを叩く「For divers area」はヤバい。Kjが「踊れ!」と言うまでもなくフロアは揺れまくり、「頭振れ!」と言えば辺り一面ヘドバンの海に。Kjが「ロックフェス楽しい?」と尋ねると、観客は大きな歓声を返した。 「百合の咲く場所で」では、Kjがみんなの顔が見たいからと照明スタッフに明るくするよう指示。「よく見てるからな!」と嘘のない言葉を伝えてから、サビのフレーズを歌い届けた。そして「16~17歳からずっとこの会社で働いています!」という言葉とともに放たれる圧倒的キラーチューン「Fantasista」。うねるベース、空間を射貫くビート、情熱的なギター、刺激的なスクラッチ。それらに感化されながら、声を上げる観客とバンドがタッグを組んでいる感じが最高で、曲が進むほど、両者ともに熱量を高めていった。この空間にあるのは生身の音楽、飾らない言葉、信じられる熱のみ。Kjの「ライブやってる時は、お前らから絶対目逸らさねえから。その代わりお前ら、自分から目を逸らすなよ!」という言葉も痺れる。 ここで「頼むぜ相棒!」の言葉とともにフラッグを持ったJESSEが登場。次はもちろんこの曲、「Straight Up feat. JESSE」だ。曲中では〈今ガーデンシアターにいる少年少女〉と歌詞が変えられ、今この場にいる人たちへの、リアルタイムのメッセージとして音楽が放たれる。至上のコラボに興奮しながら、そして確かに私たちに向けて歌われているのだと実感に胸を震わせながら、一人ひとりの体温が高まり、結果、空間全体の熱も上がっていく。 ラスト1曲を前に照明が全て消されると、観客の灯したスマホライトがメンバーの目に映る景色を彩った。その景色の中で、Kjが「俺とサク(櫻井誠/ds)が16歳の時……」と回想し、原宿RUIDOで今は亡きビクターのスタッフ・関口氏に拾ってもらったのだと振り返る。「俺たちもこの1個1個のちっちゃな光をできるだけ見落とさないように、取りこぼさないように、精一杯ロックバンドやって生きていきます。みなさんも自分の光を消さないように、小さくても見失わないように、生きていってください」。ラストの「New Era」は、そんな言葉とともに届けられた。仲間の鳴らすバンドサウンドを背負いながら、Kjは「愛だの恋だの歌わないけど、勝ち負けとか歌わないけど、俺がみんなに音楽を通して言いたいのは……踊りまくれ!」と叫ぶ。それはすなわち「生きろ」ということ。Dragon Ashは今日もロックバンドとして、目の前のオーディエンスに真摯なメッセージを届けた。そしてバトンはキュウソネコカミへと繋がれる。 Text:蜂須賀ちなみ ■キュウソネコカミ 『ビクターロック祭り』の常連=ダイノジが、今年はDJでなく漫才を披露してから、いよいよトリ、キュウソネコカミ。『ビクターロック祭り』は10周年、キュウソもメジャーデビュー10周年である。 「行くぜ! 俺たちとビクターの始まりの曲!」と、1曲目は「ビビった」でスタート。「さあみんなで手を振って」のところで、ヤマサキセイヤ(vo/g)、「今日イチのジャンプ、できるかー!」とアオリまくる。 続いてヨコタシンノスケ(key/vo)も「俺たちは大トリですよ? いちばんでかいコール&レスポンス、聴かしてもらっていいですか!」とアオリまくり、「ファントムヴァイブレーション」では、曲中の三度のブレイクで、〈スマホはもはや俺の臓器〉のシンガロングが響いた。 その「ファントムヴァイブレーション」の最後でギターを置いたセイヤ、そのままハンドマイクで次の曲を歌い始める。「正義マン」だ。〈不謹慎なヤカラを叩きのめす〉に合わせて、客席いっぱいに、腕が波のように振られる。 次の「サギグラファー」の、曲の中盤でブレイクして、スマホの撮影音が響くところで、ニッパーくんとネズミくんがステージに登場。メンバーも楽器を置いてふたりとフロントに並び、撮影OKタイムが設けられるという特別な演出も。続く「KMTR645」では、オカザワカズマ(g)が、おなじみネズミくんモデルのギターで、ソロを弾きまくる。 ビクターから話が来た時、キュウソはインディー色の強いバンドやから、周囲からいろいろ言われた。でも、ビクターに来て思ったのは、ほんとに好き放題できる。上京もしてないし、プロデューサーも付けられたことないし──と、感謝を伝え、これからもビクターと切磋琢磨していきたい、と言うセイヤ。 「行くぜみんな、まだ体力余ってるよな!」と、「DQNなりたい、40代で死にたい」になだれ込む。 〈ヤンキーこわい〉のコール&レスポンスが続く中、セイヤ、筋斗雲に乗って客の海の上へ……のはずが、全然乗れてない状態で進み、あとから筋斗雲が付いてくる。そのままフロア中央まで行き、またステージ前まで戻って来る。筋斗雲もあとから付いてくる。「優しいなおまえら、全然乗り心地ええやんけ」とセイヤがフロアに投げかける。 俺たちはビクターじゃなかったら、こうなってなかったと思う。「それ、おもしろいと思うよ」って好きにやらしてくれた、だから今俺たちをおもしろいと思ってくれたとしたら、それはビクターのおかげ──というシンノスケの言葉からの「ハッピーポンコツ」で、フロアもスタンドも今日何度目かのピークへ。曲中でシンノスケ、「さっき言い忘れてたけど、おまえらのおかげでもあります!」。 「最新がいちばんかっこいい、そしておまえらとの関係を更新し続ける曲」(セイヤ)と、最後に演奏されたのは「ネコカミたい」。「俺たちとビクターの始まりの曲」である「ビビった」で始まり、「ビビった」の2024年バージョンである「ネコカミたい」で終わる。「進化」と「初志貫徹」の両方を表している選曲でありパフォーマンスだった、今日のキュウソは。 「ビクター所属、西宮の、キュウソネコカミでしたー!」とピースサインを出したセイヤがステージから去り、客電が点き、終演アナウンスとBGMが流れても、参加者の〈ヤンキーこわい〉のシンガロングは、かなり長い間、続いた。そして、最後に拍手に変わった。 Text:兵庫慎司 Photo:Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)、Norito Ohazama(SOUND SHOOTER) <公演情報> 『ビクターロック祭り2024』 11月30日 東京・東京ガーデンシアター 【セットリスト】 ■tight le fool(O.A.) M1. リフレインガール M2. ラブロマンス ■THE BAWDIES M1. HOT DOG M2. GIMME GIMME M3. LET'S GO BACK M4. POPCORN M5. SUGAR PUFF M6. IT'S TOO LATE M7. T.Y.I.A. M8. JUST BE COOL ■ヤバイTシャツ屋さん M1. あつまれ!パーティーピーポー M2. ハッピーウェディング前ソング M3. Blooming the Tank-top M4. NO MONEY DANCE M5. 喜志駅周辺なんもない M6. ネコ飼いたい M7. スプラッピ スプラッパ M8. すこ。 M9. 無線LANばり便利 M10. かわE ■SCANDAL M1. 最終兵器、君 M2. マスターピース M3. 瞬間センチメンタル M4. ハイライトの中で僕らずっと M5. テイクミーアウト M6. A.M.D.K.J M7. LOVE SURVIVE ■go!go!vanillas M1. 青いの。 M2. エマ M3. アメイジングレース M4. 平安 M5. カウンターアクション M6. 来来来 M7. マジック ■サンボマスター M1. 稲妻 M2. ヒューマニティ! M3. 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ M4. Future is Yours M5.できっこないを やらなくちゃ M6. 花束 ■Dragon Ash M1. Entertain M2. ROCKET DIVE M3. For divers area M4. 百合の咲く場所で M5. Fantasista M6. Straight Up feat.JESSE M7. New Era ■キュウソネコカミ M1. ビビった M2. ファントムヴァイブレーション M3. 正義マン M4. サギグラファー M5. KMTR645 M6. DQNなりたい、40代で死にたい M7. ハッピーポンコツ M8. ネコカミたい