引退のJ1鳥栖・藤田直之 目指すのはサガンの監督「指導者となってチームを勝たせる絵の方が浮かんだ」ラストゲームに出場 セレモニーであいさつ
◆明治安田J1リーグ最終節 鳥栖3―0磐田(8日、駅前不動産スタジアム) 来季J2に降格する鳥栖が快勝で終えた。磐田DF陣の裏を突き、前半16分に富樫敬真が先制。マルセロヒアンも2得点して突き離すと、後半22分からはこの試合で引退する藤田直之が岡本昌弘とともに出場し、快勝に花を添えた。 ■妻と3人の子どもたちと写真に収まる藤田直之【写真】 藤田は引退セレモニーで「鳥栖に入団が決まったのはクリスマスも過ぎた年末。当時はJ3もなく、本当にぎりぎりで拾ってもらった形での入団でした。3年後にまだプロとしてやれているかなという不安や、3年後にプロとしてやれていることを目標にしてこのチームに入ってきたことを今でも覚えています」と切り出した。 1年目の2010年からJ2で32試合に出場して主力の地位を確立させると、11年にはJ1昇格に貢献。神戸やC大阪時代も含めてJ1で356試合(17得点)、J2で55試合(4得点)に出場し、日本代表にも選ばれた。 引退は数年前から考えたという。今季は出場12試合にとどまった。「降格という結果を招いてしまい、チームの力になれない自分に本当に失望した。来年以降、ピッチで勝利に導くより、指導者となってチームを勝たせる絵の方が浮かんだ」と引退の理由を表明。「何年後になるか分かりませんけど、自分がこのチームの監督として戦っている姿を想像したときにわくわくする自分がいました」と鳥栖の監督に就く将来像を掲げた。 引退のJ1鳥栖・藤田直之 目指すのはサガンの監督「指導者となってチームを勝たせる絵の方が浮かんだ」ラストゲームに出場 セレモニーであいさつ チームは11年以来のJ2へ。チーム、サポーターが一体となってJ1昇格を決めた同年の戦いを踏まえ「あの姿こそサガン鳥栖のあるべき姿なんじゃないか。来季も選手を支えてほしい」と願った。セレモニー後、取材に応じた藤田は事前に用意したせりふではなく、自然と出た言葉だと打ち明けた。 「当時は他で試合に出ていない選手の寄せ集め。でもチームが一丸となり、勢いもあって、サポーターも巻きこんで、チームが上向きに上がっていた。今年のうちは全然足りていなかったと思う。来年どんな選手が来ても、根底に鳥栖らしさがないとJ2で勝ち抜くことは絶対に難しい。外からそういうふうに手助けしていけたら」。拾ってもらったサガンへの恩返しは、これからも続けていく。(末継智章)
西日本新聞社