【新潟】松橋力蔵監督が退任決断、来季は東京指揮が確実 後任候補はOB上野優作氏らに絞られる
アルビレックス新潟の松橋力蔵監督(56)が退任の意志を固めたことが12日、分かった。関係者によると来季は、既に正式オファーを受けていたFC東京を指揮することが確実。13日までに正式サインする段取りで、近日中に正式発表される。 【写真】後任候補の上野優作氏 新潟からも続投を要請されたが、新天地を選択した。就任3年目の今季。リーグ戦は最終節で残留を決めるなど苦しんだが、YBCルヴァン杯ではクラブを史上初となる決勝に導いた。後任候補は、クラブOBの上野優作氏(51)ら数人に絞られている。 ◇ ◇ ◇ 松橋監督が、決断した。新潟を去る。着任3年目の今季も、選手たちと磨き上げたパスサッカーで見る者を魅了。初のファイナルまで勝ち進んだルヴァン杯ではクラブに初タイトルこそもたらすことはできなかったが、ファンの記憶に残る延長PK戦を、名古屋相手に展開した。リーグ戦は16位と振るわなかったものの、負傷者が相次いだ4~6月の連戦も、選手起用をうまくやりくりして乗り切った。 新潟からは10月に続投オファーを受けたが「(松橋監督から)J1残留を決めるまで、まずは目の前の一戦に集中したい」との返答を受け、交渉をストップ。今月8日の今季最終戦後、中野幸夫社長(69)が「続投に向け、引き続き交渉を進める」と席を設けたが、松橋監督は断りを入れ、新天地でJ1優勝を目指す決断をした。 古巣の横浜F・マリノスから21年、当時J2だった新潟のコーチに就任。22年に監督へ昇格すると、いきなりJ2優勝でのJ1昇格に導いた。プロの監督業2年目で挑んだ昨季はJ1で10位。今季は終盤9試合で勝ちなしと苦しんだが、最終節で自力残留を決めた。 アルベル前監督(56)が20年からの2年間で浸透させたポゼッションのベースの上に、より速く相手ゴールに到達する縦へのスピードをプラス。メンバーはアマチュアクラブからはい上がって来た苦労人や、J3、J2を主戦場として来た選手がほとんどだったが、個々の特徴を引き出し、融合させるチームマネジメントで魅力ある独自スタイルをつくり上げた。 選手育成にも定評があり、指揮した3年間でA代表経験のあるMF伊藤涼太郎(26=シントトロイデン)や今夏パリ五輪代表のMF三戸舜介(22=スパルタ)に、現浦和レッズのMF本間至恩(24=元クラブ・ブルージュ)が海を渡った。 松橋監督の決断を受け、新潟は監督人事で出遅れることになり、急ピッチで来季編成を行っていく。次期指揮官にはクラブOBの上野氏らが候補に挙がっている。 ◆松橋力蔵(まつはし・りきぞう)1968年(昭43)8月22日生まれ、東京都出身。千葉・市原緑高-日産自動車-横浜-京都-ジヤトコ。02、03年ジヤトココーチ、04~20年は横浜でユースのコーチ・監督、トップチームのヘッドコーチを歴任。21年1月に新潟のコーチに就任。15年S級ライセンス取得。Jリーグ通算44試合出場3得点。JFL通算79試合出場15得点。