くら寿司、回転レーン生かす 食の「リアル回帰」対応へ
くら寿司(堺市)は4月24日、東京都内で事業戦略説明会を開いた。田中信副社長はコロナ禍での衛生意識の高まりや昨年発生した迷惑行為の影響で、回転レーンに寿司を流す大手チェーンは同社のみとなったと説明。独自調査ではレーンに流す寿司店の需要は強いとした上で、「回転ベルトと注文、抗菌カバーは消費者ニーズに応えるくら寿司だからこその強み。2024年は『回転寿司のニューリアル』をコンセプトに据える」と説明した。
同社の第1四半期(23年11月~24年1月)の売上高は前年同期比9・4%増の561億1000万円で、続く2、3月の月次決算も好調を維持している。田中副社長はコスト高で厳しい状況だが、人流回復やインバウンド需要の復活で「外食産業は全体的には好調に転じている」と説明した。
くら寿司は昨年10月、全国の20~60代の男女474人を対象に、回転寿司に関するインターネット調査を行った。「利用したいお店のタイプ」という質問では全体の52・7%が「レーンでお寿司を流す店」と回答。このうち消費をリードする20代が最も高い65%、さらに男性に限ると7割を上回る回答があった。
一方、お寿司が流れない店を選んだ理由として「迷惑行為をされず衛生的」「回っているものは古く、注文だと新鮮な寿司を食べられる」「自分が好きなネタしか食べないから」との回答が続いた。これに対し、「くら寿司は回転ベルトと注文の二刀流、抗菌寿司カバーで衛生的と全てのニーズを満たす唯一のチェーン。競争が激化する中でも勝機がある」と強調した。
今年は新たなフェーズとして「回転寿司のニューリアル」を事業戦略コンセプトに掲げる。食のトレンドは「リアル回帰」にあるとし、「一歩前に進み、リアルならではの新しい体験価値を提供する」とした。
東京・銀座に旗艦店が開業
4月25日には東京・銀座に「グローバル旗艦店 銀座」をオープンした。インバウンドが増加し、世界屈指の“美食と観光の街”(同社)となった同エリアに、「江戸町エンターテインメント」をコンセプトにした国内6店舗目のグローバル旗艦店を展開する。