ネット広告の闇を探る! 企業も無視できないSNS広告詐欺とMFAサイトの実態
さらに、一度景品表示法違反の「攻めた」表現で売上を立ててしまった事業者は、それに依存してしまい、やめられなくなる悪循環も起きている。
今後の見通しと、広告主の取るべきアクション
講演も終盤に入り、今後のウェブ広告業界の展望と、広告主の企業として取るべきアクションについて語られた。 ■ 広告モデルは崩壊する 「すでに消費者はウェブ広告が嫌いで、タップしなくなっている」と土橋氏。悪質な広告から自分の生活を守るためにも、消費者はウェブ広告をスルーせざるを得なくなっている。 続けて土橋氏は「なので、基本的に広告モデルは崩壊するはず」と主張し、月額課金が成立しているごく少数のメディアだけが生き残るだろうと述べた。 ■ 考査の厳しいプラットフォームの再評価 明坂氏は、「厳しい規制、倫理基準に基づいた広告考査を設けるプラットフォームは価値が見直されるだろう」と予想している。 その代表例がテレビだ。テレビではクリエイティブ考査と業態考査があり、クリエイティブに関しては消費者にとって有害にならないよう、「ビールの一気飲みを助長しないために、ゴクゴクは2回まで」のような独自基準が設けられている。業態考査ではビジネスモデルやサービス内容などが審査される。 そのため、テレビや、そこから派生しているTVerは価値が高まるかもしれない。「ウェブ広告でも、Yahoo!のブランドパネルのような掲載基準の厳しい面は価値が高まる」と明坂氏は予測している。 ■ 今後、広告主がすべきアクション
今後、広告主が「すべきアクション」として、次の3点があげられた。
■ 1)カオス化するペイドメディアのエコノミクスに加担しない 悪質なデジタル広告のエコノミクスに参加せず、広告考査の信頼性が担保されたメディアへ出稿した方がよい。とはいえ、「Metaが詐欺師から広告収益を得ている」からといって、ただちにMetaへの広告を止められる事業者はほとんど存在しないだろう。それゆえ、カオス化するペイドメディアの問題は解決が難しい。 ■ 2)ペイドメディア以外の強化 トリプルメディア(オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディア)のうち、自らコントロールしやすいオウンドメディア、あるいは世間から評判を得るアーンドメディアでのマーケティング活動に注力するとよい。ペイドメディアに依存しない集客の仕組みを構築してほしい。 ■ 3)継続的にメディア、行政への働きかけ 法律が変われば、プラットフォーマーも対応せざるを得なくなる。前澤氏や堀江貴文氏のような著名人が声を上げるか、あるいは業界全体が束になって声を上げるか、いずれにせよ声を上げないと現状は変わらない。 最後に2人は次のように述べ、講演を締めくくった。 ┌────────── プラットフォーマーは、チェックしきれない量の広告をあえて受け入れています。改善は期待しない方がよいでしょう(土橋氏) └────────── ┌────────── カオスなデジタル広告の業界をきれいにして、消費者にとっても広告主にとっても良い社会を作っていければと思います(明坂氏) └──────────